売却の時にオール電化の返済が残っている場合はどうするの?
最近、太陽光システムを後付けしてオール電化にしている家を売却するというケースが増えてきました。
このようなケースでは、工事費を信販会社のクレジットで分割払しているご家庭が多く、その理由としては、施工会社が「余った電力を売って、電気代を節約できた分と毎月のクレジット払いが釣り合うような形で、負担なく太陽光システムのオール電化にできる」という触れ込みでセールスしていることが多いからです。
この記事を読んでわかること
監修・このブログを書いた人
細貝 和弘(ほそがい かずひろ)
宅地建物取引士
公認不動産コンサルティングマスター
2級フィナンシャルプランニング技能士
賃貸不動産経営管理士
相続診断士
大手不動産仲介会社の法人営業部の責任者として任意売却部門を立ち上げ。銀行や信用保証会社、債権回収会社および破産管財人弁護士のサポート、そして住宅ローンの返済に困窮した方々のお悩み300件以上をコンサルティングしてきた、いわば任意売却の専門家。
家を任意売却してもオール電化の債務の扱いは別
基本的にこういったクレジット払いの設備は車のクレジット払いと同じで、取り外せるものであれば返済が滞った場合は設備を回収することになっています。
住宅ローンが払えなくなって任意売却する場合にオール電化になっていてまだクレジットの支払いが残っている場合は注意が必要です。
住宅ローンが払えていなくても、オール電化システムのクレジット払いは、売電のお金で自動引き落としとなっているため、滞納になりにくく、家の住宅ローンだけが期限の利益を喪失して、オール電化システムのクレジット払いは正常に払われている状態になるのです。
そして、家を任意売却し始めて、その後買主が見つかって売買契約し、いざ最終の決済!というときに問題が噴出することになるのです。家を任意売却で売却しますので、オール電化システムの電力会社との契約者名義は、その家の買主に引き継がれます。しかし、オール電化システムのクレジット払いは引継ぎされずに、旧所有者の個人に紐づいている形になります。もし、任意売却の際にオール電化システムのクレジット払いの残高が清算されていなければ、債務は残ることになるのです。これは、家の売買というか、名義変更の登記には影響しないため見過ごされがちになります。
つまり、旧所有者は家を売却して引っ越したとしても、オール電化システムの債務は継続してしはらわなければなりません。
ここで問題になるのがもし旧所有者がオール電化システムのクレジット払いをその後返済しなくなってしまった場合に、家につけられている太陽光システムやオール電化システムは信販会社によって引き上げられてしまうのかという問題です。
買主としてはいくら任意売却で買ったからといっても生活が始まってから突然太陽光システム一式を引き揚げられてしまってはたまったものではありません。屋根の太陽光パネルや室外のオール電化システムを持っていかれるだけでなくキッチンのIHコンロなども一式の場合が多いのでシステムキッチンにぽっかり穴があくことになってしまうのです。
ですので、任意売却の際には任意売却の依頼を受けている不動産会社がきちんと確認しなければいけないのです。
そうしないと、何年かしてから非常に大きなトラブルが起こることになります。旧所有者は、住宅ローンが払えなくなって家を任意売却で手放しているため、クレジット払いの残っている分も払えなくなる可能性が高いからです。
任意売却後のオール電化のトラブルを避けるためには
このトラブルを未然に防ぐためには任意売却業者としてはまずは任意売却に着手してすぐに信販会社にクレジット払いのことで確認しなければいけません。
家の名義が変わって新しい所有者が引き継ぎますがもし旧所有者が債務不履行をした場合にどうなるかということを確認するのです。
すると下記の2通りに分かれます。
①債務不履行になればシステムを引き揚げて回収します
⇒この場合はそのまま任意売却するのは非常に危険になります。太陽光システムを突然に引き揚げられてしまったら新所有者が大変な目にあってしまうからです。信販会社が引き揚げるという回答の場合は必ず任意売却の手続きの中でこのクレジット払いの債務を清算するように持っていく必要があります。それは決済直前になってできることではなく事前に債務の残高を把握して緻密に任意売却を進めなければいけません。経験したことのない任意売却業者では難しいかもしれません。というか経験していなければそのままスルーして決済してしまっている可能性すらあるのです。
またこの場合でも旧所有者が弁護士に受任してもらっていて自己破産申請の予定だと弁護士から通知を受けて信販会社がクレジットの債務を放棄した場合がありました。
②債務不履行になってもシステムの引き揚げは行いません
⇒この場合は一安心です。もし旧所有者が任意売却後にこのクレジット払いを滞納したとしても督促が旧所有者に行くだけで新所有者には何も影響しません。太陽光システムとオール電化システム一式も信販会社によって引き揚げられることもないため安心です。できればこのほうが任意売却も進めやすいですしこちらとしても安心です。
必ず確認を忘れずに
いかがでしょうか?
信販会社のクレジット払いで住居の設備を増やしている場合は、任意売却する際にきちんと調べておかないとあとで大変になります。
ただし、同じようにカーポートや外構のグレードアップ工事をクレジット払いしていたようなケースがあったのですが、信販会社に確認すると、任意売却後に旧所有者がその支払いを滞納したとしても、カーポートを持っていったり外構の塀を引き揚げることはないとのことでした。
これらの傾向から家の設備関係である程度高価なもので取り外しが簡単なものをクレジット払いしている場合は要注意だといえるかもしれませんね。
住宅ローンやオール電化などの返済が大変で払えないという方はぜひ経験豊富な当社にお早めにご相談ください。
私たちはご相談者様にとって一番良い形でも問題解決方法をご相談者様と一緒に一生懸命に考えます。