親子リレーローンでトラブル!二世帯住宅を建てたが息子がうつ病になり支払い不能
今回は、両親の家に同居していた息子さんが結婚するとのことで、父親名義だった家を、二世帯住宅に建て替えて、親子リレーローンを組んでいた、千葉県松戸市のご相談者、田中様(仮名)のお話です。
この記事の内容
監修・このブログを書いた人
細貝 和弘(ほそがい かずひろ)
宅地建物取引士
公認不動産コンサルティングマスター
2級フィナンシャルプランニング技能士
賃貸不動産経営管理士
相続診断士
大手不動産仲介会社の法人営業部の責任者として任意売却部門を立ち上げ。銀行や信用保証会社、債権回収会社および破産管財人弁護士のサポート、そして住宅ローンの返済に困窮した方々のお悩み300件以上をコンサルティングしてきた、いわば任意売却の専門家。
親子ローンで二世帯住宅に建て替え
お子様の結婚を機に、もともとご本人(父親)名義で購入した土地建物の住宅ローンがまだ少し残っていたため、定年まであと数年の田中様と、働き出して10年目のお子様のお二人で、親子リレーローンを組んで二世帯住宅に思い切って立て替えたそうです。
当時30代前半だったお子様だけでは、二世帯住宅に建て替える、全額の住宅ローンをまかなえなかったため、まだ定年前で働いていたご本人とお子様での親子リレーローンを、ハウスメーカーの営業マンからすすめられて、親子リレーローンを組むことになったとのことでした。
そして、家を二世帯住宅に建て替え、お子様も結婚して同居生活が始まり、お孫さんも2人できて、しばらくは順調に親子リレーローンの返済も進んでいました。
まだご本人も働いていて、30代前半の息子様よりも給料が多いくらいでしたので、親子リレーローンの返済に何の問題もなかったそうです。
定年退職から歯車は狂いだす
しかし、田中様の定年退職を機に、少しずつ歯車が狂い出していきました。
まず、田中様ご本人が年金受給になり、収入がガクンと減ったのです。
ただし、これは親子リレーローンを組む際のシミュレーションでは想定していたことでした。
それ以上に問題になったのが、お子様が40代になったのに、思ったほど給料が増えなかったことで、田中様も一番ダメージが大きかったとおっしゃっていました。
それから、そのことでお子様は責任を感じて、残業を多めにしたり、休日も出勤したりして、ハードワークを続けていましたが、残念なことにそのハードワークがたたって、重度のうつ病を発症してしまったのでした。そして、それが原因で会社を休職することになり、休職手当はもらえたものの、収入はさらに6割程度に減ってしまいました。
これで田中様の年金と、お子様の休職手当を全部足しても、毎月の住宅ローンを払えるかどうか、というレベルになってしまい、お子様の奥様が正社員で働いていた給料を入れて、なんとか一家の生活が成り立つ、という綱渡りの状況が続いたのでした。
その後、さらに悪いことにお子様の重度のうつ病は回復せず、1年半の休職期間を全て消化、会社を退職することになって、息子様の収入はゼロになってしまいました。
これで万事休す。住宅ローンはどうやっても払えなくなってしまいました。
そして、住宅ローンの期限の利益を喪失してしまい、保証会社から代位弁済されて、残金を一括請求されてしまったのでした。
それでも住み続けたい
私どもに田中様からご相談があり、ご自宅にお伺いしたときも、お子様はうつの症状がひどく、まともに話せませんでした。
田中様のご希望としては、苦労して建てた二世帯住宅なので、そのまま住み続けたいとのことでしたが、土地もそこそこ広く、建物の規模も普通の住宅よりも大きかったため、リースバックを検討したものの、リースバックの買取価格が高額になる結果。さらに、リースバックの家賃もそれに合わせて高くなってしまったので、とても払える額ではなく、リースバックは断念せざるを得ませんでした。
そこで、少しでも高く任意売却で売却して、住宅ローンの残債を減らすことを考え、今は空き家になっている母親の実家が栃木県にあるので、そちらに全員で移り住むことで住居費を減らして、生活を再建するプランを立てました。
任意売却を始めてからも、なかなかそのまま「二世帯住宅が欲しい」という買主は、普通の家に比べて見つけにくく時間がかかりましたが、何とか1組だけちょうど二世帯住宅を検討していたご家族の買主が見つかり、任意売却で購入して頂けました。
父親としては、せっかく自分が住宅ローンをずっと払ってきた土地を取られてしまう形になり不本意だったと思いますが、任意売却で「ちょうど二世帯住宅を探していた」という買主に売却できたことで、住宅ローンの残債をかなり減らせました。
また、任意売却後の残債に関しては、月々3万円を払えばよいという、家賃が大きくかからない家に引っ越し出来たこともあって、「年金だけでも余裕を持って払っていけそうだ」と、少しほっとされていたのが印象的でした。
親子ローンのトラブルもお任せ下さい
二人分の収入を合算できるため、大きめの金額を借り入れることが可能となるかわりに、どちらかが返済不能になると、一蓮托生で両者ともが返済不能に陥ってしまう可能性が高い、諸刃の剣の住宅ローンもあるのです。
親子リレーローンや、親子ペアローンの返済が苦しい、苦しくなりそうだという方は、ぜひ経験豊富な当社にご相談ください。
私たちは、ご相談者様にとって一番良い形での問題解決方法を、ご相談者様と一緒に一生懸命に考えます。