空き家売買における調査・告知の重要性と買主保護の強化
空き家問題
空き家の取引においては、建物の状態や過去の利用状況が不明なことが多く、売買後のトラブルに発展しやすい傾向があります。
このため、宅地建物取引業法(宅建業法)では、買主様を保護するために、宅建業者および売主様に求められる「建物状況調査(インスペクション)の活用」や「物件情報の正確な告知」に関する規定が設けられており、その重要性が高まっています。
この記事では、安心安全な空き家取引のために、売主様と宅建業者が取るべき対応策について分かりやすく解説します。

監修
細貝 和弘(ほそがい かずひろ)
宅地建物取引士/公認不動産コンサルティングマスター/
賃貸不動産経営管理士/相続診断士
空き家売買や任意売却に精通し、買主保護に関する法規定にも詳しい不動産専門家。
建物状況調査(インスペクション)の活用と宅建業者の役割
2018年の宅建業法改正により、宅建業者は媒介契約時に、依頼者に対して建物状況調査(ホームインスペクション)を実施する者のあっせんが可能かどうかを告知し、希望があればあっせんを行い、調査結果については重要事項説明で説明する義務があります(法第35条)。
建物の基礎・屋根・外壁の劣化状態、給排水設備などの瑕疵を買主様へ正確に伝えるための重要な仕組みです。
専門家によるインスペクション報告書を添付することで、物件の欠陥・不具合の見落とし防止や売買後のトラブル防止に役立ちます。
また、2024年7月の報酬特例拡大改正により、空き家売買における建物状況調査を含む事前調査の重要性が制度面で一層強調され、実務上も推奨されています。ただし、調査の実施自体は任意であり、調査を行わない場合はその理由を説明する責任が求められています。
買主保護のための告知義務の明確化
不動産取引における買主保護の観点から、過去の利用履歴や周辺環境に関する告知義務も明確化されています。
1. 心理的瑕疵に関する告知
過去の事件・事故(自殺・孤独死など)といった、物件の利用に心理的な抵抗が生じる可能性のある事実については、2021年10月策定・公表の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(心理的瑕疵ガイドライン)により、売主および宅建業者が買主に対して適切に告知すべき範囲が明確化されています。
不十分な告知は、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)や損害賠償請求のリスクを高めるため、売買契約前の正確な情報開示が強く求められます。
2. その他の重要情報
ライフライン(給排水、電気など)の状況、接道状況、再建築の可否、土地の形状・地盤、境界未確定リスク、近隣トラブルの履歴などについても、買主様の判断に影響を与える情報は、重要事項説明書を通じて網羅的に提供する必要があります。
空き家売買における推奨事前調査項目
空き家売買では、宅建業法第35条に基づき、売買契約前に以下の事前調査項目を確認・説明することが、買主保護とトラブル防止の観点から実務上強く推奨されています。2024年以降の空き家対策強化(報酬特例拡大等)を踏まえ、これらのポイントを重要事項説明書や売買契約書に適切に反映することが不可欠です。
- ・建物の基礎・屋根・外壁などの劣化状況(傾き・腐朽・雨漏り 等)
- ・給排水・電気などライフラインの接続状況
- ・道路との接道状況や再建築の可否
- ・土地の形状・地盤・境界未確定リスク
空き家売買を円滑に進めるための対応策
空き家売買におけるトラブルを未然に防ぎ、安心安全な取引を実現するためには、売主様、宅建業者、買主様の三者がそれぞれの立場と役割を理解し、協力して情報共有を進めることが重要です。
とくに2024年以降の空き家対策強化により調査・告知の重要性が高まる中、各主体が取るべき具体的な対応策を解説します。
- 物件の状態(リフォーム履歴など)や過去の利用履歴、近隣とのトラブルなど、把握している情報を正確に宅建業者に報告する。
- 建物状況調査(インスペクション)のあっせんを徹底し、正確な重要事項説明を行うための調査体制を強化する。
- 重要事項説明書やインスペクション結果を十分に確認し、疑問点は必ず契約前に解消する。
- トラブル防止のため、売主様・買主様・宅建業者間での情報共有と透明性を高める。
とくに2024年以降は、空き家の事前調査・告知が制度面でも強調されるようになっているため、売主様・宅建業者・買主様がそれぞれの立場で必要な情報を共有し、書面に残しておくことが重要です。
よくある質問 Q&A
- インスペクションの費用は誰が負担するのですか?
- 原則として、依頼者である売主様が負担することが多いですが、買主様側から希望して費用を負担するケースもあります。業者との相談で取り決めます。
- 告知義務に違反した場合のリスクは?
- 契約不適合責任に基づき、契約解除や損害賠償請求、最悪の場合は法的責任を負うことがあります。
- 宅建業者は何をすべきですか?
- インスペクションの適切なあっせん、調査項目の拡充と報告義務の徹底、重要事項説明書の内容を法令に基づき正確に作成・説明することが必要です。2024年以降の空き家対策強化により、空き家売買に関しては、建物・土地・周辺環境などの事前調査と、その結果の説明・告知が一層重視されています。空き家を多数取り扱う宅建業者ほど、調査チェックリストや重要事項説明書のテンプレート見直しなど、社内体制の整備が求められます。
まとめ
空き家売買においては、インスペクションの活用や正確な情報開示を通じて、買主様保護の体制を整えることが、結果的に売主様の売買後のトラブルリスク低減につながります。
安心安全な空き家売却を安心して進めるためにも、実務対応をしっかり理解し、信頼できる専門家と連携しましょう。
2024年以降の空き家対策強化も踏まえると、空き家特有のリスクを事前調査と適切な告知でカバーし、書面で明確に残しておくことが、買主様保護と売主様のトラブルリスク低減の両方にとってますます重要になっています。
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