固定資産税の滞納で差押え通知が届いた。家はどうなる?任意売却で間に合うか
任意売却 / 滞納 / 競売
「役所から固定資産税の差押え予告通知が届いた。家が取られてしまうのか」
「住宅ローンも払えていないのに、固定資産税まで滞納してしまっている」
「差押えが入ったら任意売却はもうできないのか」
固定資産税の滞納で差押え通知が届くと、多くの方が「もう終わりだ」と感じます。しかし差押えはあくまで「役所が家を勝手に売られないようにする措置」であり、その時点ではまだ公売(強制売却)になっていません。動き出せる時間は残っています。ただし、その時間は長くはありません。
この記事では、任意売却専門22年のエイミックスが、差押えから公売までの流れ・住宅ローン滞納と固定資産税滞納が重なる「二重差押え」の実態・任意売却で間に合う条件を、実務の観点から解説します。
📋 この記事でわかること
1. 固定資産税を滞納するとどうなるか
固定資産税は毎年1月1日時点で不動産を所有している方に課される税金です。通常4月から6月ごろに納税通知書が届き、一括または年4回の分割払いで納付します。これを滞納すると、住宅ローンの滞納とは異なる「行政による手続き」が進行します。
固定資産税滞納から公売までの流れ
| 段階 | 内容 | 目安時期 |
|---|---|---|
| 督促状の送付 | 納期限から20日以内に督促状が送付される。この時点での延滞金率は年2.4%(2026年現在) | 滞納後すぐ |
| 催告書・電話連絡 | 督促後も未納が続くと催告書が届き、役所から電話連絡が来る。分割納付の相談に応じてもらえる段階 | 1〜3か月後 |
| 差押え(財産の差押え) | 督促状送付から10日以内に納付がなければ、法的に差押えが可能な状態に。実際の差押えは役所の判断・状況による | 数か月〜1年以上 |
| 公売(強制売却) | 差押え後も滞納が解消されない場合、不動産を公売にかけて強制売却。競売と同様に市場価格より低くなりやすい | 差押え後数か月〜 |
⚠️ 固定資産税滞納の特有リスク:自己破産しても免責されない
住宅ローンや消費者金融の借金は、自己破産によって免責(支払い義務の消滅)を受けられます。しかし固定資産税などの税金・公課は自己破産の免責対象外です(破産法第253条)。生きている限り支払い義務が残り続けます。「自己破産すれば固定資産税も消える」という誤解には注意が必要です。
2. 差押えから公売までのタイムライン
差押えが実行されたとしても、即座に公売になるわけではありません。差押えは「役所が家を勝手に売られないようにする措置」であり、この段階では家に住み続けることができます。問題は差押え後の動きです。
差押え後も滞納が続くと公売へ
差押え後に滞納税額の納付・分割納付の合意・任意売却の開始などがなされない場合、役所は公売の手続きを進めます。公売は裁判所が行う競売とは異なり役所(自治体)が主体となる強制売却ですが、結果として市場価格より低い価格で売却されるリスクは競売と同様です。
延滞金が雪だるま式に増える
固定資産税の滞納には延滞金がかかります。納期限翌日から1か月は年2.4%、それ以降は年8.7%の延滞金率が適用されます(2026年現在・法定上限による変動あり)。数年間滞納が続くと、元の税額より延滞金の方が大きくなるケースがあります。早期に対処することが延滞金の積み上がりを防ぐ唯一の方法です。
差押え通知が届いた。どうすればいいかわからない方へ
固定資産税滞納と住宅ローン滞納が重なるケースの任意売却は、専門業者への早期相談が解決の鍵です。
3. 住宅ローン滞納と固定資産税滞納が重なる「二重差押え」
実務上、固定資産税の滞納は住宅ローンの滞納と同時に進行するケースが多くあります。「住宅ローンが払えなくなり、固定資産税も後回しにしているうちに両方が滞納になった」という状況です。この場合、問題は二重に複雑になります。
二重差押えとは
住宅ローンの金融機関(抵当権者)が競売申立てを行っている状態に加え、役所が固定資産税滞納を理由として別途差押えを実行すると、同じ不動産に対して2つの差押えが入る「二重差押え」の状態になります。この状態での任意売却は、金融機関と役所の両方との協議が必要になるため、一般の不動産会社では対応が難しいケースがあります。
💡 二重差押え状態での任意売却のポイント
- 売却代金の配分に税金が優先される
- 任意売却の売却代金は、住宅ローンの残債(抵当権者)と固定資産税の滞納額(役所)の両方に充当する必要があります。税金は抵当権より優先される場合があるため、売却代金の配分交渉が複雑になります。滞納税額・延滞金の規模・物件の市場価格を把握した上で、専門業者が役所と金融機関の双方と調整を進める必要があります。
- 役所との分割納付の合意が任意売却成立の前提になることがある
- 売却代金だけでは滞納税額全額をカバーできない場合、役所との間で残りの分割納付について合意できるかどうかが、任意売却を成立させるための鍵になることがあります。この交渉には自治体ごとの対応の違いを踏まえた経験が必要です。
4. 差押えが入っても任意売却はできるか
差押えが入った状態でも、任意売却は可能な場合があります。ただし条件があります。
任意売却で間に合う条件
- 公売の手続きが確定・開始する前に動き始めること——公売が実際に開始されると任意売却への切り替えが難しくなります。差押え後できるだけ早く専門業者に相談することが重要です
- 売却代金で滞納税額(または相当部分)をカバーできる見込みがあること——物件の市場価格が滞納税額と住宅ローン残債の合計に対してどの程度カバーできるかが判断基準になります
- 役所との分割納付の協議が成立すること——売却代金でカバーしきれない滞納税額について、残りを分割で納付する合意が得られる場合、任意売却が成立するケースがあります
任意売却が難しくなるケース
- 公売の期日が迫っており、売却活動に使える時間がほぼない
- 滞納税額が物件の市場価格をはるかに上回り、売却代金での回収が見込めない
- 役所が分割納付の合意に応じず、公売を強行する判断をした
これらの状況でも、諦める前に専門業者への相談をお勧めします。固定資産税の滞納がある場合の任意売却は、役所との交渉など円滑に進めるには多くの経験が必要不可欠であり、特殊な販売経験のない一般の不動産会社では断られることもあります。
5. 差押え通知が届いたら最初にすること
固定資産税の差押え通知(または予告通知)が届いたとき、最初に取るべき行動を整理します。
- ① 通知の内容を正確に確認する
「差押予告通知」と「差押え(財産の差押え)」は別物です。予告の段階であればまだ差押えは実行されていません。通知に記載された期限・金額・担当窓口を確認してください。 - ② 滞納税額の全体像を把握する
固定資産税の滞納元本・延滞金の合計を役所の窓口で確認します。住宅ローンの残債も合わせて、物件の市場価格と比較できる状態にします。 - ③ 一人で役所に交渉しに行く前に専門業者に相談する
役所の窓口では「全額納付か分割納付の合意」を求められることが多く、住宅ローンの問題も抱えている場合、窓口だけで全体を解決することは困難です。任意売却専門業者への相談を先行させることで、役所・金融機関双方への対応を一本化できます。 - ④ 物件の現在の市場価格を把握する
任意売却が成立するかどうかの判断基準は、物件の市場価格と滞納額・残債の合計の差です。AI査定(ハウマッチ)でまず目安を確認してみてください。
6. よくある質問(FAQ)
- Q. 差押え通知が届きましたが、まだ公売になっていません。任意売却できますか?
- 差押えが入った状態でも、公売が開始される前であれば任意売却が可能な場合があります。ただし差押え解除には役所との交渉・滞納税額の処理方法の合意が必要であり、経験のある専門業者への早期相談が不可欠です。時間が経つほど選択肢が狭まるため、通知を受け取ったらできるだけ早くご相談ください。
- Q. 住宅ローンも滞納しています。固定資産税と住宅ローンの両方の問題を同時に解決できますか?
- 任意売却によって、金融機関(住宅ローン)と役所(固定資産税)の両方への対応を同時に進めることが可能な場合があります。売却代金の配分については、住宅ローンの抵当権と税金の優先順位を踏まえた交渉が必要です。この種の複合案件は一般の不動産会社では難しいため、任意売却専門業者への相談をお勧めします。
- Q. 固定資産税の滞納は自己破産しても消えませんか?
- 固定資産税などの税金・公課は自己破産の免責対象外です(破産法第253条)。自己破産によって住宅ローンなどの私的債務は免責を受けられますが、税金の支払い義務は生涯消えません。固定資産税の滞納は可能な限り早期に解決することが重要です。
- Q. 任意売却後に固定資産税の滞納分が残った場合、どうなりますか?
- 売却代金で滞納税額を完済できない場合、残額は引き続き納付義務が残ります。役所との事前の協議で、売却後の残額について分割納付の合意が得られるケースがあります。状況によって対応が異なるため、まず専門業者を通じて役所と交渉することが重要です。
7. まとめ
✅ この記事のポイント
- ● 固定資産税の差押えは「即・公売」ではない。公売開始前であれば任意売却で対応できる場合がある。
- ● 固定資産税の滞納延滞金は年8.7%(1か月超)と高率で、放置するほど雪だるま式に増える。
- ● 固定資産税は自己破産しても免責されない。生涯消えない負債として扱う必要がある。
- ● 住宅ローン滞納と固定資産税滞納が重なる「二重差押え」は、金融機関と役所の双方との交渉が必要で、専門業者への依頼が不可欠。
- ● 差押え通知が届いたら、まず通知内容と滞納額の全体像を確認し、役所の窓口より先に専門業者に相談する。
- ● 任意売却が成立するかどうかの判断基準は、物件の市場価格と滞納総額・残債の差。まず市場価格を把握することが先決。
固定資産税の差押え通知が届いた。まずご相談ください
住宅ローン滞納との複合案件も含め、22年の専門実績で役所・金融機関双方への対応をサポートします。

この記事の監修・相談回答
細貝 和弘(ほそがい かずひろ)
宅地建物取引士 / 公認不動産コンサルティングマスター / 2級FP技能士
固定資産税と住宅ローンの両方が滞納になっているケースは、どちらか一方だけの問題より解決が複雑になります。役所と金融機関の双方に対して、売却代金の配分を含めた調整が必要です。「差押え通知が届いてどこに相談すればいいかわからない」という段階からお受けしています。一人で役所の窓口に行く前に、まずご連絡ください。




























