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残価設定型住宅ローンの落とし穴。残価が払えなくなったときの出口と任意売却

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残価設定型住宅ローンの罠
月々の返済が安く見える仕組みの裏に、将来の大きなリスクが隠れています

「残価設定型住宅ローンで月々の返済が抑えられると言われて組んだが、将来の残価処理が心配になってきた」
「残価設定型ローンの残価確定時期が近づいている。売却か買い取りかを迫られているが、どちらも払える自信がない」
「残価設定型で組んだが、不動産価格が下落して残価より物件価値が低くなりそうで不安だ」

2026年、「残価設定型住宅ローン(残クレ方式)」が住宅購入の新しい選択肢として注目されています。国が2021年度から普及を後押しし、2026年3月には住宅金融支援機構による金融機関向け保険制度も創設されました。現行制度の主な対象は認定長期優良住宅(主に戸建て)ですが、今後マンションを含む対象拡大も見込まれています。月々の返済を大幅に抑えられる点が魅力ですが、将来の「残価処理」という問題を先送りにしているだけという側面があります。不動産価格が下落した局面でこのローンを抱えていると、通常の住宅ローンとは異なる深刻なリスクが顕在化します。

この記事では、任意売却専門23年のエイミックスが、残価設定型住宅ローンの仕組み・将来リスクの正体・残価が払えなくなった場合の出口を、実務の観点から解説します。

1. 残価設定型住宅ローンとは何か

残価設定型住宅ローンは、自動車の「残クレ(残価設定型クレジット)」の仕組みを住宅ローンに応用したものです。2021年度より国が普及を後押ししており、2026年3月には住宅金融支援機構が金融機関向けの保険制度を創設しました。現行の制度では、JTI(一般社団法人移住・住みかえ支援機構)が残価を保証する対象物件は認定長期優良住宅に限られており、主に戸建て住宅が対象です。取り扱い金融機関も限られていますが、制度拡充により今後対象物件・金融機関ともに拡大が見込まれています。

基本的な仕組み

通常の住宅ローンは、借入総額(物件価格)を返済期間で分割して毎月返済します。一方、残価設定型住宅ローンは、将来時点での物件の「残価(予定売却価格)」を借入総額から差し引いた差額分だけを毎月返済します。残価部分の返済は将来の一定時点(例:10年後・15年後)にまとめて行います。

通常の住宅ローンと残価設定型の比較(例:5,000万円・金利1.0%・認定長期優良住宅を想定)

項目通常の住宅ローン(35年)残価設定型(残価2,000万円・残価設定月:20〜25年目)
毎月の返済対象5,000万円全額を35年で分割3,000万円(5,000万円−残価2,000万円)を元利返済+残価2,000万円分の利息
月々の返済額目安約133,000円元利返済部分+残価利息(商品・金融機関によって異なる。残価設定月以降に返済額軽減オプション行使で大幅減額可)
残価設定月に必要なこと引き続き返済継続残価2,000万円を一括処理(売却・買い取りオプション行使・借り換え)

月々の返済額は「残価を除いた差額分だけ」を返済するため、一見して月々が安く見えます。しかし将来時点で2,000万円を一括処理しなければならない義務は消えておらず、先送りされているだけです。

2. なぜ月々の返済が安くなるのか:仕組みの正体

残価設定型が「月々の返済が安い」のは、支払う総額が減っているのではなく、将来に支払いを先送りにしているからです。

⚠️ 「月々が安い」は「総支払いが少ない」ではない

残価設定型は月々の負担を抑える代わりに、将来の一括処理(残価分)という大きな義務を作ります。さらに残価部分にも利息がかかり続けるため、総支払額は通常ローンより多くなるケースがあります。「月々安く買える」という感覚で組んでいる方の多くが、この点を十分に理解していないことが問題です。不動産価格が予定通りに維持・上昇していれば残価処理は売却で乗り越えられますが、価格が下落した場合は深刻な問題になります。

残価設定型ローンの将来が不安。まず状況を整理しましょう

残価確定時期が近い・価格下落が心配・払えそうにない。どの段階でもご相談できます。

3. 将来に待っている「残価処理」という問題

残価設定型ローンを組んだ場合、将来の一定時点(残価設定月。現状は借り入れから20〜25年目前後のケースが多い)に、残価部分を以下のいずれかの方法で処理しなければなりません。

処理方法①:物件を売却して残価を精算する

物件の市場価格が残価(設定された将来の価値)を上回っていれば、売却代金で残価分を返済できます。差額は手元に残ります。しかし物件価格が下落して残価を下回っていた場合、売却しても残価分を完済できません。差額は別途負担が必要になります。

処理方法②:残価部分を一括返済または借り換えで継続

物件に住み続けたい場合は、残価部分を一括返済するか、残価部分を新たなローンで借り換えることになります。ただし一括返済には大きな資金が必要で、借り換えには審査が必要です。収入が減少している・信用情報に問題がある場合は審査に通らないケースがあります。

処理方法③:買い取り保証(設定している場合)

一部の残価設定型ローンには、デベロッパーや金融機関が物件を残価で買い取ることを保証する「買い取り保証」が設定されているケースがあります。ただし買い取り価格は確定した残価額であり、市場価格が残価を下回っていた場合は損失を受け入れることになります。また保証条件(物件の状態・用途変更なし等)を満たしていることが前提です。

4. 残価設定型ローンがとくに危険なケース

残価設定型ローンがとくに問題になりやすい状況を整理します。

  • 不動産価格が下落して、残価が市場価格を上回る「逆ザヤ」になった
    残価2,000万円に対して市場価格が1,700万円になっていた場合、売却しても300万円が不足します。買い取り保証があっても損失を受け入れるしかなく、保証がなければ追加負担が発生します。
  • 残価確定時期に収入が下がっていて、借り換えも一括返済もできない
    定年退職・育休・転職・病気など、残価確定時期に収入が減少していると、借り換え審査に通らず一括返済もできないという詰まり方をします。
  • 当初の「残価設定価格」が楽観的すぎた
    残価は契約時点で将来の価値を予測して設定されます。不動産価格が維持されることを前提に高めの残価が設定されていた場合、実際の下落幅によって残価と市場価格の差が大きくなります。

5. 残価が払えなくなった場合の選択肢と出口

残価確定時期が迫っているが払えない・または将来払えなくなりそうという状況での対処法を整理します。

選択肢①:金融機関と返済条件の再交渉

残価確定時期に一括処理が難しい場合、まず金融機関に状況を説明して条件の変更(分割払いへの切り替え・返済期間の延長)を交渉できます。ただし金融機関が応じるかどうかは個別の状況次第です。

選択肢②:通常売却(アンダーローン状態なら)

残価確定時点での物件の市場価格がローン残債(毎月の返済分の残り+残価)の合計を上回っている場合(アンダーローン)は、通常売却でローンを完済できます。残価確定時期が近づいたら、まず現在の物件の市場価格と残債総額を把握することが先決です。AI査定(ハウマッチ)でまず確認してみてください。

選択肢③:任意売却(オーバーローン状態なら)

物件の市場価格が残債総額(毎月の返済分の残り+残価)を下回っているオーバーローン状態でも、任意売却という方法があります。残価設定型ローンの場合でも、金融機関の合意のもとで売却できる場合があります。売却完了後にご本人(債務者)と債権者が直接協議して返済条件を決めます。生活実態に応じた分割返済に設定されることが多く、月々1万円程度のケースも実務上あります。

残価設定型ローンの任意売却特有の論点

残価設定型ローンの場合、複数の債権関係(毎月返済部分の金融機関と残価保証部分の関係者)が絡むことがあります。担保権の設定状況・残価保証の有無・買い取り保証条件によって任意売却の手続きが通常より複雑になるケースがあるため、経験のある任意売却専門業者への相談が重要です。

6. よくある質問(FAQ)

Q. 残価設定型ローンを組んで3年が経ちました。残価確定時期まで10年あります。今から何か準備できますか?
はい、今の段階がもっとも選択肢が多い時期です。現在の物件の市場価格と残債総額(毎月返済の残り+残価)の差を把握しておくことが先決です。アンダーローン状態なら、残価確定前に通常売却で整理するという選択肢があります。残価確定時期が近づくにつれて選択肢が狭まるため、早めの状況把握をオススメします。
Q. 残価確定時期に物件価格が残価を下回っていたらどうなりますか?
買い取り保証がある場合は、保証条件を満たしていれば設定残価で買い取ってもらえますが、市場価格との差額分は損失になります。買い取り保証がない場合は、残価を下回る市場価格で売却しても残価分を完済できず、差額の追加負担が必要になります。いずれも状況に応じて金融機関・保証会社との交渉が必要です。まずは専門家にご相談ください。
Q. 残価設定型ローンでもオーバーローンになった場合、任意売却はできますか?
はい、可能な場合があります。ただし残価設定型ローンは通常の住宅ローンと異なる債権構造を持つことがあるため、担保権の設定状況や残価保証の内容によって手続きが複雑になるケースがあります。経験のある任意売却専門業者への相談が不可欠です。
Q. 月々の返済はできていますが、残価確定時期の一括処理が払えそうにありません。今から相談できますか?
はい、今の段階でのご相談が最善です。残価確定時期が近づいてからでは選択肢が限られます。現在の物件の市場価格・残債総額・将来の収入見通しを整理することで、売却・借り換え・任意売却のどれが現実的かを判断できます。「まだ払えている」という段階からのご相談をお待ちしています。

7. まとめ

残価設定型ローンの将来が不安。まず現状を整理しましょう

残価確定時期が近い・価格下落が心配・払えそうにないという方も、23年の専門実績でサポートします。

細貝和弘

この記事の監修・相談回答

細貝 和弘(ほそがい かずひろ)

宅地建物取引士 / 公認不動産コンサルティングマスター / 2級FP技能士 / 相続診断士

残価設定型住宅ローンは2026年に急速に普及しており、「月々安く都心マンションを買えた」という喜びが、将来の残価処理という形で問題になるケースが今後増えることが予想されます。かつてゆとりローン・50年ローンが将来問題になったように、今の「月々の安さ」が将来の重荷になる構造は繰り返されます。残価確定時期が遠くても、今から状況を把握しておくことで選択肢を守ることができます。


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