自宅ローンと投資ローンが両方払えない。マイホームを守りながら投資用マンションを任意売却できるか
不動産投資 / 任意売却
「投資用マンションのローンが苦しい。でも自宅だけは手放したくない。」
金利上昇が続く2026年現在、こうした相談がエイミックスにも急増しています。投資用と居住用のローンを両方抱えている方にとって、「投資用だけを処分できるのか」は切実な問いです。
この記事では、自宅ローンと投資ローンが両方ある場合に知っておくべき仕組みと対処法を、任意売却の専門家が整理します。
目次
居住用ローンと投資ローンの違い
自宅のローン(住宅ローン)と投資用マンションのローン(不動産投資ローン)は、同じ「不動産のローン」でも、金融機関から見ると性質がまったく異なります。この違いを理解しておくことが、対処法を考える出発点になります。
| 比較項目 | 住宅ローン(居住用) | 不動産投資ローン |
|---|---|---|
| 目的 | 自分が住む家の購入 | 家賃収入を得るための物件購入 |
| 金利水準 | 低い(0.5〜2%台が多い) | 高め(1.5〜4%台が多い) |
| 団体信用生命保険(団信) | 原則加入(死亡・高度障害でローン消滅) | 任意加入・未加入の場合も多い |
| 審査基準 | 給与・年収ベース | 収益性(家賃収入)+個人属性 |
| 控除・優遇 | 住宅ローン控除の対象 | 住宅ローン控除の対象外 |
| 返済原資 | 給与・収入 | 家賃収入(家賃が入らなければ自己資金で補填) |
| 滞納時のリスク | 自宅が競売にかけられる | 投資物件が競売にかけられる(場合によっては自宅にも影響) |
特に重要なのは「団信の有無」と「返済原資の違い」です。住宅ローンには団信が原則つきますが、不動産投資ローンは未加入のケースも多く、死亡・病気・失業などのリスクがそのまま返済者にのしかかります。また、家賃収入が途絶えた場合、給与から補填し続けなければならない構造になっています。
自宅と投資用、両方のローンでお困りの方はまずご相談ください。
「自宅を守りながら投資用だけ売る」は可能か
結論から言えば、「投資用マンションだけを先に任意売却して、自宅は残す」ことは可能です。ただし、以下の条件が揃っている必要があります。
可能なケースの条件
- 投資ローンと住宅ローンが別々の金融機関から借りている
- 投資物件と自宅が共同担保になっていない(次章で詳述)
- 投資ローンのみ滞納していて、住宅ローンは正常返済中である
- 投資物件の売却代金が、投資ローンの残債を一定程度カバーできる見込みがある
注意が必要なケース
- 同じ銀行から投資ローンと住宅ローンを両方借りている場合
- 投資物件と自宅を一括で担保に入れている場合(共同担保)
- 住宅ローンにも滞納が始まっている場合
ポイント
「投資用だけ処分」を実現するには、「ローンの管理が物件ごとに独立しているか」が最初の確認事項です。同じ銀行でまとめてローンを組んでいる場合は、投資用単独での任意売却に制約が生じることがあります。
共同担保になっている場合の注意点
共同担保とは、複数の不動産を同時に担保として差し入れることで、より多くの融資を受ける仕組みです。「自宅+投資用マンション」をまとめて担保にしている場合、金融機関は投資用マンション1棟だけを切り離して売却することに難色を示すケースがあります。
共同担保の場合に起こること
- 投資用マンションだけを売却しようとしても、金融機関が同意しないことがある
- 任意売却を進める際に、自宅の担保解除を求められる場合がある
- 投資ローンの滞納が自宅への差し押さえに波及するリスクがある
共同担保に設定されているかどうかは、登記事項証明書(登記簿謄本)の「共同担保目録」欄を確認することで把握できます。不動産の権利関係に詳しい専門家(司法書士・任意売却専門会社)に確認を依頼するのが確実です。
共同担保になっていても解決策はある
共同担保が設定されていても、金融機関との交渉次第で投資用物件の単独売却が認められるケースはあります。ただし高度な交渉が必要なため、任意売却の専門業者を通じて進めることが重要です。
投資用マンションを任意売却する流れ
投資用マンションの任意売却は、居住用と基本的な流れは同じですが、「入居者への対応」が加わる点が大きな違いです。
投資ローンの残債額・毎月の収支・入居状況・共同担保の有無を整理します。任意売却専門の不動産会社に査定を依頼し、売却可能価格の見通しを確認します。
投資ローンを組んでいる金融機関(または債権回収会社)に対して、任意売却の意向を伝えます。この段階では自宅ローンの金融機関への連絡は必須ではありませんが、共同担保がある場合は同時に確認が必要です。
売却に際して入居者の退去は原則不要です(買主が賃借人を引き継ぐオーナーチェンジが基本)。ただし、家賃の振込先変更や管理会社の変更について入居者への通知が必要になります。サブリース契約がある場合は次章を参照してください。
通常の不動産売買と同様に買主を募集します。投資用物件はオーナーチェンジ物件として購入する投資家向けに売り出すのが一般的です。
買主が確定したら、売却価格・諸費用の配分について金融機関の同意を取り付けます。同意が得られたら売買契約を締結します。
売却代金が金融機関に渡り、抵当権が抹消されます。売却後に残った残債については、弁護士・司法書士と連携しながら返済方法を整理します。なお残債の交渉・免除については弁護士・認定司法書士の業務となります。
サブリース契約がある場合の対処
サブリース契約とは、不動産管理会社が物件を一括借り上げして、入居者への転貸を行う仕組みです。管理会社からオーナーへの家賃が保証されている反面、任意売却を進める上でのハードルになることがあります。
サブリース契約が任意売却に影響する理由
- サブリース契約は物件の売却後も買主に引き継がれることがある(契約内容による)
- 保証賃料が市場家賃より低い場合、買主が見つかりにくくなる
- 管理会社がサブリース契約の解除に応じない場合、売却価格に影響する
対処法
- サブリース契約書を確認し、解約条件・違約金の有無を把握する
- 管理会社との解約交渉は、任意売却専門業者のサポートのもとで進める
- サブリース付きのまま売却する場合、投資家向けに「利回り○%のオーナーチェンジ物件」として打ち出す方法もある
収支悪化のシミュレーション
2026年現在、変動金利の上昇で投資ローンの返済額が増加しているオーナーが増えています。以下は、金利上昇による収支悪化の一例です(参考値。個別の状況によって大きく異なります。詳細はご加入の金融機関にご確認ください)。
| 項目 | 購入当初(金利1.5%) | 2026年現在(金利2.5%に上昇) |
|---|---|---|
| 借入残高(参考) | 2,500万円 | 2,300万円(返済進行後) |
| 月々の返済額(参考) | 約86,000円 | 約96,000円〜(※5年ルール適用後) |
| 家賃収入(月額) | 90,000円 | 82,000円(家賃相場下落・空室期間あり) |
| 管理費・修繕積立金 | 月15,000円 | 月18,000円(値上げ後) |
| 月次キャッシュフロー | ▲11,000円(当初から赤字) | ▲32,000円(赤字拡大) |
※上記はあくまで参考値です。実際の返済額・家賃は物件・ローン条件・金融機関によって異なります。
このように、購入時点から赤字だった投資物件が金利上昇と家賃下落のダブルパンチで大幅な赤字になるケースは珍しくありません。毎月の持ち出しが3〜5万円を超え始めたら、早めに専門家へ相談することを検討すべき目安です。
収支が悪化している投資物件のご相談はエイミックスまで。
両方を処分せざるを得ないケースの見極め
「投資用だけ処分して自宅を守る」という希望が実現できない場合もあります。以下の状況に当てはまる場合は、自宅を含めた整理が必要になることを専門家に確認してもらうことをお勧めします。
両方の整理が必要になりやすいケース
- 投資ローンの残債が大きく、売却後の残債返済が給与だけでは困難な場合
- 住宅ローンも既に滞納が始まっており、競売申し立てが近い場合
- 投資ローン・住宅ローン両方が同一金融機関で、かつ共同担保が設定されている場合
- 投資用売却後も残債が多く、債務整理(個人再生・自己破産)を視野に入れる必要がある場合
債務整理は弁護士・認定司法書士の業務です
個人再生・自己破産などの債務整理手続きは、弁護士または認定司法書士にご相談ください。任意売却専門の不動産会社は売却手続きを担当し、債務整理については弁護士・司法書士と連携してトータルでサポートします。
いずれのケースも、「競売通知が届いてから」ではなく、収支悪化を感じた段階での早期相談が、選択肢を広げる最大のポイントです。
よくある質問
Q. 投資用マンションを任意売却しても、自宅への影響はありませんか?
投資ローンと住宅ローンが別々の金融機関で、かつ共同担保になっていなければ、投資用の任意売却が直接自宅に影響することは通常ありません。ただし同一銀行・共同担保の場合は影響が出ることがあります。まず登記簿謄本で共同担保目録を確認することをお勧めします。
Q. 投資用マンションに入居者がいても任意売却できますか?
はい、入居者がいたままオーナーチェンジ物件として売却するのが一般的です。入居者に退去してもらう必要は原則ありません。ただし、家賃の振込先変更など必要な手続きを買主・管理会社と連携して進める必要があります。
Q. 投資ローンには団信がないのですが、もし病気になった場合はどうなりますか?
団信未加入の場合、契約者が死亡・高度障害になっても投資ローンは消滅せず、相続人が引き継ぐことになります。健康上の問題でローン返済が困難になった場合は、任意売却・債務整理の検討が必要です。具体的な返済対策については弁護士・認定司法書士にご相談ください。
Q. 投資用マンションを任意売却した後、残債はどうなりますか?
売却代金でローン残債を完済できない場合(オーバーローンの場合)、残った債務は売却後も返済が続きます。残った債務については、弁護士または認定司法書士が金融機関との返済交渉を担当します。エイミックスでは、これらの専門家と連携したトータルサポートを行っています。
Q. 投資ローンが滞納になっていなくても、任意売却の相談はできますか?
はい、滞納前の段階でのご相談も歓迎しています。収支が悪化しているが、まだ滞納には至っていない段階での相談は、選択肢が最も広い状態です。競売通知が届いてからでは選べない方法もありますので、早めのご相談をお勧めします。
まとめ・チェックリスト
この記事のまとめ
- 住宅ローンと不動産投資ローンは金利・団信・審査基準がまったく異なる別物
- 「投資用だけ任意売却して自宅を守る」は、共同担保でなければ可能なケースがある
- 共同担保になっている場合は高度な交渉が必要で、専門業者への依頼が不可欠
- サブリース契約がある場合は、契約解除または引き継ぎの整理が売却前に必要
- 金利上昇による収支悪化は、競売通知を待たず早期に動くことが重要
- 残債の交渉・債務整理は弁護士・認定司法書士の業務。不動産会社は売却手続きと連携でサポート
確認チェックリスト
- □ 投資ローンと住宅ローンは別々の金融機関か
- □ 投資物件と自宅が共同担保になっていないか(登記簿謄本を確認)
- □ 毎月の収支(家賃収入-ローン返済-管理費等)を把握しているか
- □ サブリース契約の有無・解除条件を確認したか
- □ 住宅ローンは現在も正常に返済できているか
- □ 競売申し立ての通知が届いていないか確認したか
投資用マンション・自宅ローンのご相談はエイミックスへ

この記事の監修・相談回答
細貝 和弘(ほそがい かずひろ)
宅地建物取引士 / 公認不動産コンサルティングマスター / 2級FP技能士
投資用マンションと自宅ローンを両方抱えているケースは、どちらを優先するかの判断が非常に重要です。「自宅を守りたい」という気持ちは当然ですが、共同担保の有無・金融機関の違い・残債のバランスによって取れる選択肢が変わります。まず現状を整理することが最初の一歩です。お気軽にご相談ください。




























