奨学金と住宅ローンが重なって払えない。30代に集中する二重苦の構造と対処法
任意売却 / 収入減少 / 滞納
「奨学金の返済が月3万円。住宅ローンも始まった。子どもができて育休に入ったら家計が回らなくなった」
「夫婦それぞれが奨学金を返済中。住宅ローンも組んだが、どちらかが払えなくなってきた」
「奨学金の延滞が始まってしまった。住宅ローンの返済にも影響が出ている」
大学進学率の上昇とともに、奨学金(貸与型)の利用者は年々増え続けています。30代は奨学金の返済期間(標準で10〜20年)と、住宅購入・住宅ローン開始の時期が重なる世代です。子どもの誕生・育休による収入減・変動金利の上昇が加わると、家計は一気に詰まります。
この記事では、任意売却専門22年のエイミックスが、30代に二重苦が集中する構造的な理由・奨学金と住宅ローンのどちらを先に払うべきかの判断・住宅ローンが払えなくなったときの出口を、実務の観点から解説します。
📋 この記事でわかること
1. 30代に奨学金×住宅ローンの二重苦が集中する理由
なぜ30代に奨学金と住宅ローンの二重負担が集中するのか、数字で整理します。
奨学金の返済は大学卒業から始まる
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金(第一種・第二種)は、大学卒業後6か月が経過した翌月から返済が始まります。標準的な返済期間は10〜20年で、月々の返済額は借入総額によって異なりますが、平均的に月1〜4万円程度になります。22歳で返済を開始すると、完済は32〜42歳です。
住宅購入のタイミングと重なる
住宅購入の年齢は、国土交通省の調査では一次取得者の平均が30代前半〜中盤に集中しています。つまり多くの方が「奨学金の返済中」に「住宅ローンを開始する」という二重返済の状態に入ります。
30代の典型的な二重返済の構造
| 年齢 | 奨学金 | 住宅ローン | 家計への影響 |
|---|---|---|---|
| 22歳〜 | 返済開始(月2〜3万円) | なし | まだ管理可能 |
| 30〜35歳 | 返済継続中 | 住宅ローン開始(月8〜12万円) | 合計月10〜15万円の返済負担 |
| 30代後半 | 返済継続中 | 返済継続中+金利上昇 | 子ども・育休・物価上昇が重なり限界に |
夫婦それぞれが奨学金を返済しているケース
共働きで住宅ローンを組んだ夫婦が、それぞれ奨学金を返済中というケースでは、世帯全体の返済額が月15〜20万円に達することがあります。このうち1人が育休・時短勤務・病気などで収入が減ると、家計の余力がゼロになります。
2. 奨学金と住宅ローン:信用情報への影響の違い
奨学金と住宅ローンを両方抱えて苦しくなったとき、「どちらを後回しにするか」の判断に影響する重要な事実があります。
奨学金の延滞は3か月で信用情報に登録される
日本学生支援機構の奨学金を延滞すると、以下の流れで信用情報機関(CIC・JICC)に情報が登録されます。
⚠️ 奨学金延滞の信用情報への影響
- 3か月延滞:個人信用情報機関(KSC:全国銀行個人信用情報センター)に延滞情報が登録される(いわゆるブラックリスト入り)※CIC・JICCではなくKSCへの登録
- 延滞が続く:日本学生支援機構から法的措置の予告・裁判所を通じた一括返済請求
- 信用情報への登録期間:返還完了後5年間は記録が残り、その間はローン・クレジットカードの審査が通りにくくなる
住宅ローンの延滞も同様に信用情報に影響する
住宅ローンの延滞も信用情報機関への登録対象です。一般的に2〜3か月の延滞で登録されます。なお住宅ローンは銀行系であればKSC(全国銀行個人信用情報センター)に登録されます。住宅ローンの延滞が続くと競売という形で自宅を失うリスクがあり、生活への影響が直接的です。奨学金の延滞は「信用情報への影響」が主なリスクであるのに対し、住宅ローンの延滞は「自宅を失う」というより深刻なリスクがあります。
奨学金と住宅ローンの二重苦で限界に近い方へ
住宅ローンの問題だけでも先に整理することで、生活の立て直しが始められます。まずご相談ください。
3. どちらを先に払うべきか:優先順位の考え方
奨学金と住宅ローンの両方が苦しくなった場合、どちらを優先すべきでしょうか。
💡 原則として住宅ローンを優先する
- 理由:自宅を失うリスクの深刻度が違う
- 奨学金を延滞すると信用情報への影響・法的措置のリスクがありますが、住宅ローンを延滞すると競売によって自宅を失うという、より直接的・深刻な影響があります。どちらも延滞すべきではありませんが、やむを得ない場合は住宅ローンを優先することをお勧めします。
- 奨学金の返済猶予・減額制度を活用する
- 日本学生支援機構の奨学金には「返還期限猶予」(通算最大10年間。ただし育休・傷病など一部の事由は期間中継続して利用可)や「減額返還」制度があります。減額返還は月々の返還額を2分の1・3分の1(4分の1・3分の2も選択可)に減額でき、収入が一定水準以下の場合に利用できます。住宅ローンの返済を維持しながら奨学金の返済を一時的に軽減・猶予する選択肢があります。延滞が始まる前にJASSOに相談することが重要です。
4. 状況別の対処法
奨学金と住宅ローンの二重苦の状況によって、取れる手段が変わります。
まだ両方払えている。家計がギリギリの段階
奨学金の返還期限猶予・減額返還制度をJASSOに申請することで、奨学金の負担を一時的に軽減し、住宅ローンの返済に集中できる余力を作ることができます。また固定費の見直し・家計の整理を行いながら、住宅ローンの金融機関にも現状を説明しておくことが重要です。
どちらかが払えなくなり始めた段階
奨学金の返済を猶予しながら、住宅ローンの金融機関にリスケ(返済条件変更)を相談することが現実的です。育休・収入減・物価上昇など、具体的な事情を数字で示すことで、一定期間の返済額減額に応じてもらえる可能性があります。
住宅ローンの滞納が始まった段階
任意売却の専門家への相談を開始するタイミングです。物件の現在の市場価格と残債の差(アンダーローンかオーバーローンか)を把握することが最初のステップです。AI査定(ハウマッチ)でまず市場価格を確認してみてください。
5. 住宅ローンが払えなくなった場合の出口
奨学金との二重苦で住宅ローンが払えなくなった場合、任意売却という出口があります。
任意売却後の残債と奨学金は別問題として整理する
任意売却で住宅ローンを整理しても、オーバーローンの場合は残債が残ります。ただしこの残債については、売却完了後にご本人(債務者)と債権者が直接協議して返済条件を決めます。生活実態に応じた分割返済額に設定されることが多く、月々1万円程度のケースも実務上あります。奨学金の返済義務は任意売却後も続きますが、住宅ローンという大きな固定費がなくなることで、奨学金の返済に充てられる余力が生まれます。
30代での任意売却:生活再建の余裕がある
30代での任意売却は、40代・50代と比べて生活再建の選択肢が多い段階です。再就職・収入増加・奨学金完済後の余力回復など、時間を味方につけた立て直しが可能です。「若いうちに整理した方が、長期的な損失が少ない」という判断軸も、30代での任意売却を検討する根拠になります。
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6. よくある質問(FAQ)
- Q. 奨学金と住宅ローン、どちらを先に滞納しても信用情報への影響は同じですか?
- どちらも信用情報機関への登録対象です。奨学金は3か月延滞で登録、住宅ローンは2〜3か月で登録されることが多く、タイミングに大きな差はありません。ただし住宅ローンの延滞は競売という形で自宅を失うリスクがあるため、実生活への影響という意味では住宅ローンの方がより深刻です。
- Q. 奨学金の返還猶予を使いながら住宅ローンを払うことはできますか?
- はい、可能です。日本学生支援機構の奨学金には、経済困難・育休・傷病などの事由に応じて返済を猶予できる「返還期限猶予制度」(通算最大10年間。育休・傷病など一部事由は継続期間中は上限なし)と、月々の返還額を2分の1・3分の1(4分の1・3分の2も選択可)に減らせる「減額返還制度」があります。育休中・収入減少中はこれらの制度を活用しながら、住宅ローンの返済を維持することが現実的な選択肢です。JASSOのウェブサイトまたは電話で申請できます。
- Q. 任意売却をすると奨学金の返済に影響しますか?
- 任意売却で住宅ローンを整理しても、奨学金の返済義務はそのまま続きます。任意売却後の住宅ローン残債は分割返済に切り替わりますが、奨学金とは別の債務として引き続き返済が必要です。ただし、住宅ローンという大きな固定費がなくなることで、奨学金の返済に充てられる余力が生まれます。
- Q. 夫婦それぞれが奨学金を返済中で、住宅ローンも苦しいです。どこに相談すればいいですか?
- まず住宅ローンの問題をエイミックスにご相談ください。現在の物件の市場価格・残債・収入状況を整理した上で、リスケ・通常売却・任意売却のどれが現実的かをご提案します。奨学金の返還猶予・減額については、JASSOへの申請と並行して進めることが可能です。
7. まとめ
✅ この記事のポイント
- ● 30代は奨学金返済期間(卒業後10〜20年)と住宅ローン開始時期が重なる、二重負担が最も集中する世代。
- ● 夫婦それぞれが奨学金を返済中の場合、世帯の月々の返済総額が15〜20万円に達するケースがある。
- ● 奨学金は3か月延滞で信用情報に登録される。延滞前にJASSOの返還期限猶予・減額返還制度を活用することが重要。
- ● どちらかを後回しにする場合は住宅ローンを優先する。競売という生活への直接的打撃を避けるため。
- ● 住宅ローンが払えなくなった場合は任意売却という出口がある。30代での整理は生活再建の時間的余裕がある。
- ● 任意売却後も奨学金の返済義務は続くが、住宅ローンの固定費がなくなることで奨学金返済の余力が生まれる。
奨学金と住宅ローンの二重返済で限界に近い方へ
住宅ローンの問題だけでも先に整理することが、生活再建の第一歩になります。22年の専門実績でサポートします。

この記事の監修・相談回答
細貝 和弘(ほそがい かずひろ)
宅地建物取引士 / 公認不動産コンサルティングマスター / 2級FP技能士 / 相続診断士
「奨学金を返しながら住宅ローンも始めたが、子どもができて家計が限界になった」という30代からのご相談は増えています。住宅ローンの問題は、奨学金・育休・変動金利など複数の要因が重なって起きることが多い。まず住宅ローンの問題だけでも整理することで、他の問題に向き合う余裕が生まれます。「まだ深刻ではないかも」という段階からのご相談が、最善の選択肢を守ることになります。





























