住宅ローンのリスケを選んだその先の現実。残債が増え、定年が迫る
オーバーローン / リスケジュール / 任意売却 / 収入減少 / 定年退職・老後
「数年前にリスケしてもらい、何とか返済を続けてきた。しかし残債がほとんど減っていない」
「リスケで返済額を下げてもらったが、そろそろ元の金額に戻さなければならない。払えるか不安だ」
「リスケをしてから5年が経った。あと数年で定年なのに、残債がまだ大量に残っている」
収入が減少した時期に「リスケ(返済条件の変更)」を選んで住宅ローンの危機をしのいだ方が、数年後に新たな壁に直面しています。リスケは「今の苦しさを先送りにする」手段であり、問題を根本的に解決するものではありません。リスケ中に積み上がった利息・元金の減らなかった分・返済期間の延長が積み重なって、定年というタイムリミットが迫ってきたとき、問題が再燃します。
この記事では、任意売却専門23年のエイミックスが、リスケ後に何が起きるかの実態・問題が再燃する3つのタイミング・リスケで粘るべきか任意売却で整理すべきかの判断軸を、実務の観点から解説します。
📋 この記事でわかること
1. リスケで何が起きているか:数字で見る現実
リスケとは、金融機関に申し出て住宅ローンの返済条件を変更する方法です。主に「月々の返済額を下げる」「元金の返済を一定期間猶予する(利息のみ返済)」という形で行われます。一見、家計を助ける有効な手段に見えますが、その間に何が起きているかを数字で把握することが重要です。
リスケ(元金据置・利息のみ返済)で起きること:具体例
| 条件 | 通常返済の場合 | リスケ(3年間・利息のみ)の場合 |
|---|---|---|
| 残債 | 3,000万円 | 3,000万円(変わらない) |
| 金利 | 1.5%(変動) | 1.5%(変動) |
| 月々の返済額 | 約90,000円(元利均等) | 約37,500円(利息のみ) |
| 3年後の残債 | 約2,780万円に減少 | 3,000万円のまま(元金は1円も減っていない) |
| 3年後の完済年齢 | 変わらない | 3年延びる(通常返済に戻す場合は返済額が増加) |
「月々の返済が3分の1以下になった」という安堵感の裏で、3年間で元金は1円も減らず、完済年齢は3年延びたという現実があります。リスケ中に金利が上昇していた場合、3年後に通常返済に戻す際の返済額は、リスケ前より高くなる可能性があります。
⚠️ リスケは「問題の解決」ではなく「先送り」
リスケで月々の苦しさをしのいでいる間、住宅ローンの元金はほぼ減りません。収入が回復してリスケを解除したとしても、残債はほとんど変わっておらず、返済期間が延びた分だけ「問題のピーク」が後ろにずれているにすぎません。収入が回復しないまま時間が経過すると、定年というタイムリミットが近づく中で、より深刻な状況に直面することになります。
2. リスケ後に問題が再燃する3つのタイミング
リスケをした後、問題が再び顕在化するタイミングは主に3つあります。
タイミング①:リスケ期間が終わり、通常返済に戻るとき
リスケは恒久的なものではなく、通常は1〜3年程度の期間限定の措置です。期間終了後に通常返済に戻す際、月々の返済額が元に戻ります。さらに、リスケ中に金利が上昇していた場合は、以前より高い返済額になることもあります。「リスケ前より苦しくなった」という状況が起きるのはこのタイミングです。
タイミング②:定年退職・再雇用で収入が大幅に減少するとき
リスケで元金の減りを先送りにしてきた分、定年時点での残債が予想より多く残ります。現役時代の収入を前提に組まれたローンが、年金・再雇用収入(現役時代の2〜4割減)では支えられなくなります。「定年になった瞬間に詰む」という状況が、リスケを繰り返してきた方にとくに多く見られます。
タイミング③:金融機関がリスケの延長を認めなくなるとき
リスケの延長は金融機関の判断によります。複数回・長期にわたるリスケを繰り返した場合、金融機関が「これ以上の延長は認められない」と判断するケースがあります。この場合、リスケなしで通常返済に戻すか、任意売却で整理するかという二択に直面します。
3. リスケ×金利上昇が重なると何が起きるか
2026年現在、変動金利の上昇局面でリスケ中という方は、二重の問題を抱えています。
リスケ中でも金利上昇分の利息は発生する
リスケ(元金据置・利息のみ返済)の場合、毎月支払っているのは利息分のみです。変動金利が上昇すると、この利息額が増えます。「利息だけ払っているのに、支払い額が増えた」という状況が起きます。さらに元金がまったく減らない状態が続くため、将来の通常返済に戻した際の返済額はリスケ開始時よりさらに高くなります。
未払利息が発生するケース
リスケで設定した月々の返済額が、金利上昇後の利息計算額を下回る場合、未払利息(利息の積み残し)が発生します。払っているのに残債が増えているという状態です。詳しくは未払利息が積み上がった住宅ローンの出口もご参照ください。
4. 「リスケを続けるか・任意売却で整理するか」の判断軸
リスケ後の状況から、次の一手を選ぶための判断軸を整理します。
リスケ継続 vs 任意売却:どちらが向いているか
| ✅ リスケ継続が向いているケース | ⚠️ 任意売却を検討すべきケース |
|---|---|
| 収入回復の見通しが具体的にあり、リスケ解除後の返済額を払える目処が立っている | 収入回復の見通しが立たず、リスケを繰り返すだけになっている |
| 定年まで10年以上あり、その間に繰り上げ返済・借り換えで残債を圧縮できる可能性がある | 定年まで5年以内で、定年後の収入では通常返済が不可能な水準の残債が残る |
| 物件の市場価格が残債を上回っており(アンダーローン)、いざとなれば通常売却で完済できる | オーバーローン状態で、リスケ中も残債がほぼ減らず、時間とともに状況が悪化している |
| 金融機関がリスケの延長に引き続き応じてくれる見込みがある | 金融機関がリスケ延長を断り、通常返済に戻せと言われている |
判断に必要な2つの数字
どちらを選ぶべきかを判断するには、まず以下の2つの数字を把握することが先決です。
- 現在の物件の市場価格——残債との差(オーバーローンの規模)が出口の選択肢を決めます。AI査定(ハウマッチ)でまず目安を確認してみてください。
- 定年時の残債見込み——現在の返済ペースで定年時にいくら残るかを試算することで、年金生活で払い続けられるかどうかが判断できます。
5. 任意売却という出口
リスケで時間を稼いだ結果として、任意売却が現実的な出口になるケースがあります。
「リスケ後の任意売却」の特有の論点
リスケを経た後の任意売却では、以下の点に注意が必要です。
- 元金がほとんど減っていない——リスケ中に元金が据え置かれた分、売却後の残債が想定より多くなるケースがあります
- 金融機関との関係の再構築——リスケを繰り返してきた経緯がある場合、任意売却への切り替えについて丁寧な説明と交渉が必要になります
- 滞納していない状態からの任意売却——リスケ中は滞納していないため、任意売却の手続きには一定の滞納が前提になります。状況によって対応が変わるため、早めに専門業者に相談することが重要です
任意売却後の残債処理
任意売却後の残債は、債権者との協議で生活実態に応じた分割返済額に設定されることが多く、月々1万円程度のケースも実務上あります。リスケで積み上がった残債が多い場合でも、残債の返済額は残債総額ではなく生活実態で決まる点を理解しておくことが重要です。
📎 関連ページ
6. よくある質問(FAQ)
- Q. リスケ中です。残債がほとんど減っていません。このまま続けるべきでしょうか?
- 「このまま続けることで状況が改善するか」を判断するために、現在の物件の市場価格と残債の差・定年時点での残債見込み・収入回復の見通しの3点を整理することをオススメします。収入回復が見込めず、定年まで時間が少ない場合は、任意売却での根本解決を検討するタイミングかもしれません。まずご相談ください。
- Q. リスケの期間が終わり、通常返済に戻すよう求められています。払えません。どうすればいいですか?
- まず金融機関に状況を説明し、リスケの延長または新たな返済条件の相談ができるか確認してください。延長が認められない場合、現在の物件の市場価格と残債を把握した上で、通常売却(アンダーローン)または任意売却(オーバーローン)を検討することが現実的です。早めに任意売却専門業者に相談することをオススメします。
- Q. リスケ中に変動金利が上がり、毎月の利息額が増えました。リスケ設定額を超えてしまいます。
- 設定されたリスケ返済額が利息計算額を下回ると、未払利息が発生します。毎月払っているのに残債が増えているという状態です。金融機関に返済額の再設定を相談するか、状況によっては任意売却での整理を検討する必要があります。まず現在の残債と市場価格を把握することが先決です。
- Q. あと5年で定年です。リスケ中で残債が2,500万円あります。任意売却すべきでしょうか?
- 現在の物件の市場価格と残債2,500万円の差が判断の基準になります。市場価格が残債を上回っていれば通常売却で完済可能です。オーバーローンの場合、定年後の年金収入で残債2,500万円を払い続けることが現実的かどうかを確認してください。定年前の今がもっとも選択肢が多い段階です。エイミックスのAI査定(ハウマッチ)でまず市場価格を確認してみてください。
7. まとめ
✅ この記事のポイント
- ● リスケ(元金据置・利息のみ返済)の間、元金はほぼ減らない。3年のリスケで完済年齢が3年延び、残債がほぼそのまま残る。
- ● リスケ後に問題が再燃するのは「通常返済に戻るとき」「定年で収入が減るとき」「金融機関が延長を認めなくなるとき」の3タイミング。
- ● 変動金利の上昇がリスケ中に重なると、月々の利息額が増え・未払利息が発生し、状況がさらに悪化するリスクがある。
- ● 収入回復の見通しがなく・定年まで時間が少なく・オーバーローンが深い場合は、任意売却での根本解決を検討するタイミング。
- ● 判断に必要なのは「現在の物件の市場価格」と「定年時の残債見込み」の2つ。まずこの数字を把握することが先決。
📎 関連ページ
リスケ後の現実に直面している。次の一手を一緒に考えましょう
残債・市場価格・収入見通しの3点を整理することが、最善の判断への第一歩。23年の専門実績でサポートします。

この記事の監修・相談回答
細貝 和弘(ほそがい かずひろ)
宅地建物取引士 / 公認不動産コンサルティングマスター / 2級FP技能士 / 相続診断士
「数年前にリスケしてもらったが、残債が全然減らない。定年が近づいてきて不安になってきた」というご相談は実務上少なくありません。リスケは必要な手段でしたが、その先をどう動くかが重要です。現在の状況を数字で整理し、リスケを続けるべきか任意売却で根本解決すべきかを一緒に判断します。「気づいたら手遅れ」にならないよう、早めのご相談をオススメします。




























