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会社経営者が自宅を事業の担保に入れた。事業が傾いて自宅が競売になりそうな場合の対処法

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事業の傾きで競売リスクに直面している、自宅を事業の担保に入れた経営者
事業のために入れた自宅の担保。会社の問題が自宅の問題に直結します

「会社の運転資金が必要で、自宅に根抵当権を設定して借り入れをした。事業が厳しくなり、返済できなくなってきた」
「銀行の事業融資の担保に自宅を入れていた。会社が倒産しそうで、自宅も競売になると言われた」
「住宅ローンの抵当権と、事業融資の根抵当権が両方ついている。どちらが優先されるのかわからない」

会社経営者が自宅を事業融資の担保に提供するケースは珍しくありません。会社が好調なうちはローン返済に問題がなくても、事業が傾いた瞬間に自宅の競売リスクが現実化します。住宅ローンの滞納とは異なる「根抵当権」という仕組みが絡むため、問題の構造が複雑になります。

この記事では、任意売却専門23年のエイミックスが、根抵当権と抵当権の違い・事業担保で自宅が競売になる仕組み・自宅を守るための選択肢と任意売却という方法を、実務の観点から解説します。

1. 根抵当権と抵当権の違い:経営者が知っておくべきこと

住宅ローンに設定される「抵当権」と、事業融資に設定される「根抵当権」は、似ているようで性質が大きく異なります。

抵当権と根抵当権の主な違い

項目抵当権(住宅ローン)根抵当権(事業融資)
担保する債務特定のローン(住宅ローン)のみ極度額の範囲内で、一定の取引から生じる不特定の債務を担保する
担保範囲の変化返済が進むにつれて担保する残債が減っていく融資を繰り返すたびに担保する債務額が変動する。上限(極度額)まで何度でも借り入れ可能
完済と抹消ローンを完済すれば抹消できる残債がゼロになっても、根抵当権そのものは自動的に抹消されない。別途手続きが必要
利用される場面住宅購入のための個人ローン事業用の運転資金・設備投資融資。会社の借り入れに代表者個人の自宅を担保にするケースが多い

根抵当権の最大の特徴は「極度額の範囲内で何度でも借り入れができる」という点です。たとえば極度額3,000万円の根抵当権を設定すると、会社の資金需要に応じて3,000万円まで繰り返し借り入れることができます。これは会社の資金繰りには便利ですが、いざ返済できなくなったときに自宅が担保として機能し、競売のリスクを負うことになります。

2. 事業融資の担保に自宅を入れると何が起きるか

会社の事業融資に自宅を担保提供した場合、どのような経緯で競売リスクが発生するのかを整理します。

会社の返済が止まると個人の自宅が動く

事業融資の担保に自宅を提供している場合、返済義務は会社(法人)にあります。しかし会社が返済できなくなると、銀行は担保物件(個人の自宅)に対して競売申立てを行う権利を持ちます。「会社の問題なのになぜ個人の自宅が」という感覚を持つ方が多いですが、担保提供した時点でこのリスクを受け入れています。

連帯保証人としての責任も重なるケース

多くの事業融資では、代表者個人が会社の借入に対して連帯保証人になっています。担保提供(根抵当権)と連帯保証の両方を負っている場合、会社の倒産・返済不能が個人の財産(自宅含む)に直撃します。法人と個人の財産が事実上一体化している状態です。

⚠️ 2026年に増えているパターン

競売件数が15年ぶりの増加を続ける中、「経営者が自宅を担保に事業資金を調達し、会社の経営悪化で自宅が競売になるケース」が増加しています。金利上昇による事業コストの増大・インフレによる原材料費高騰・人件費上昇が重なり、中小企業の資金繰りが悪化している結果です。

事業の問題で自宅が危ない。まず状況を整理しましょう

根抵当権・住宅ローン・事業融資が絡む複合案件も、23年の実績でサポートします。

3. 住宅ローンの抵当権と事業融資の根抵当権が両方ある場合

住宅ローン(抵当権)と事業融資(根抵当権)の両方が自宅に設定されているケースは、問題がより複雑になります。

登記の順位が重要

不動産に複数の担保権(抵当権・根抵当権)が設定されている場合、登記された順番(順位)によって、競売の売却代金の配分が決まります。住宅ローンの抵当権が第1順位、事業融資の根抵当権が第2順位であれば、売却代金はまず第1順位の住宅ローンの残債に充当され、残りが第2順位の事業融資に充当されます。

「どちらかが払えれば大丈夫」は誤解

住宅ローンは払えているが事業融資が払えない、という状況でも、事業融資の根抵当権を持つ銀行が競売申立てを行えば、自宅の競売は進行します。住宅ローンの銀行と事業融資の銀行が異なる場合、どちらか一方が動けば競売手続きが始まります。「住宅ローンさえ払っていれば自宅は安全」という認識は、根抵当権が設定されている場合は成立しません。

売却代金が残債総額を下回る場合

住宅ローン残債+事業融資残債の合計が自宅の市場価格を大幅に上回るケースでは、競売になっても両方の銀行が残債を全額回収できません。この場合、任意売却での売却代金の配分をどう設定するかが、両行との交渉の焦点になります。複数の担保権者との同時交渉が必要であり、経験のある専門業者への依頼が不可欠です。

4. 自宅を守るための選択肢

事業の問題が自宅の競売リスクに発展しそうな段階で、取れる選択肢を整理します。

選択肢①:事業の問題を早期に解決する

事業融資の返済が止まる前に、銀行と事業融資のリスケ(条件変更)を交渉することで、自宅への影響を防げる期間を作ることができます。事業再生・資金調達・事業整理など、会社の問題を先に解決することが自宅を守る最善策になります。ただしこれらは企業再生の専門的な問題であり、弁護士・中小企業診断士などの専門家への相談が必要です。

選択肢②:根抵当権の極度額を縮小・抹消交渉する

事業融資の残債が極度額より大幅に少ない場合、銀行と交渉して根抵当権の極度額の縮小または抹消を求めることができます。ただし銀行が応じるかどうかは状況次第であり、弁護士を通じた交渉が有効な場合があります。

選択肢③:自宅を任意売却で整理する

事業の立て直しが困難で、自宅の競売が避けられない状況になった場合、任意売却で自宅を整理することが選択肢になります。競売より高い価格で売却できる可能性があり、売却代金の配分についても債権者との交渉余地があります。残債については、売却完了後にご本人(債務者)と債権者が直接協議して返済条件を決めます。生活実態に応じた分割返済額に設定されることが多く、月々1万円程度のケースも実務上あります。

弁護士との連携が必要な場面

事業融資・根抵当権・連帯保証・会社の清算(破産)が絡む複合的な問題は、任意売却専門業者だけで解決することはできません。弁護士への相談と、不動産専門業者への相談を並行して進めることが重要です。エイミックスでは必要に応じて弁護士のご紹介も可能です。

5. 任意売却という方法

事業担保の自宅を任意売却で整理する場合の、特有の論点を整理します。

💡 複数の担保権者がいる場合の任意売却のポイント

全担保権者の同意が必要
任意売却を成立させるには、自宅に設定されているすべての担保権者(住宅ローンの銀行・事業融資の銀行等)の同意が必要です。どちらか一方だけでは手続きを進められません。複数の銀行との同時交渉が必要なため、経験のある専門業者への依頼が不可欠です。
売却代金の配分交渉が鍵
売却代金が残債総額を下回る(全額回収できない)場合、各担保権者にどれだけ配分するかの交渉が任意売却の成否を左右します。この配分交渉は登記の順位・各行の残債規模・物件の市場価格を踏まえた実務的な調整になります。

会社の清算・個人破産と任意売却の関係

事業の問題が深刻で会社の清算・個人破産を検討している場合、任意売却のタイミングが問題になります。個人破産を申請すると、不動産に価値がある場合(アンダーローンまたは担保余剰がある場合)は破産管財人が財産を管理するため、自分の意思で任意売却を進めることが難しくなります。一方、明らかなオーバーローンの場合は担保権者が任意売却を進めるケースもあり、状況によって対応が異なります。破産申請前に任意売却で自宅を整理しておく方が、残債の処理・退去のタイミングなど経営者自身が主体的に判断できる選択肢が広がりやすいといえます。また、債務者が破産手続き開始の決定を受けると、根抵当権の担保すべき元本が確定します(民法398条の20)。それ以降は新たな債務が担保の対象外となり、根抵当権が通常の抵当権に近い性質に変わります。この順序の判断は、必ず弁護士との連携の上で行ってください。

6. よくある質問(FAQ)

Q. 住宅ローンは払っています。でも事業融資の返済が止まり、銀行から担保の自宅を競売にすると言われました。どうすればいいですか?
住宅ローンの返済状況にかかわらず、事業融資の担保権者は競売申立てを行う権利を持ちます。まず弁護士に相談して事業融資の問題全体を整理しながら、並行して任意売却専門業者に自宅の任意売却の可能性を相談することをオススメします。競売より任意売却の方が高く売れる可能性があり、その結果として事業融資の残債を圧縮できます。
Q. 自宅に住宅ローンの抵当権と事業融資の根抵当権の両方が設定されています。任意売却できますか?
はい、可能な場合があります。ただし任意売却を成立させるには、両方の担保権者(住宅ローンの銀行と事業融資の銀行)の同意が必要です。売却代金の配分交渉も複雑になるため、複数の担保権者との交渉経験がある任意売却専門業者への依頼が不可欠です。
Q. 会社の破産を考えています。自宅の任意売却はその前に進めるべきですか?
個人破産を申請すると、不動産に価値がある場合(アンダーローンまたは担保余剰があるケース)は破産管財人が財産を管理するため、任意売却を自分の意思で進めることが難しくなります。明らかなオーバーローンの場合は担保権者が任意売却を進めるケースもありますが、いずれも自分でコントロールできる余地は狭まります。破産申請前に任意売却で自宅を整理しておく方が、退去のタイミング・売却価格・残債の処理について自分で選択できる余地が広がります。ただしこの判断の順序は個別の状況によって異なるため、弁護士との連携の上で決めることをオススメします。
Q. 根抵当権を抹消することはできますか?
根抵当権は事業融資の残債がゼロになっても自動的には抹消されません。銀行の合意を得て抹消登記の手続きをする必要があります。事業融資の残債が極度額より大幅に少ない場合は、極度額の縮小交渉をすることも選択肢です。ただしこれらの交渉は銀行の判断次第であり、弁護士への相談をオススメします。

7. まとめ

事業の問題で自宅が競売になりそう。まず状況を整理しましょう

根抵当権・複数担保権者との交渉を含む複合案件も、23年の専門実績でサポートします。

細貝和弘

この記事の監修・相談回答

細貝 和弘(ほそがい かずひろ)

宅地建物取引士 / 公認不動産コンサルティングマスター / 2級FP技能士 / 相続診断士

「会社のために担保に入れた自宅が、会社の問題で競売になりそうだ」というご相談は、2026年に入って増えています。根抵当権・複数の担保権者・連帯保証が絡む案件は複雑ですが、弁護士と連携しながら任意売却で整理した実績があります。「どこに相談すればいいかわからない」という段階からご連絡ください。


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