変動金利が上がって収入も減った。リスケと任意売却、どちらを選ぶべきか
リスケジュール / 任意売却 / 収入減少 / 失業 / 滞納
「変動金利で借りていたが、2026年に入って返済額が増えた。同時に転職で収入も下がってしまった」
「金利上昇で家計が苦しくなっているところに、育休で収入が半減した」
「インフレで生活費が上がり、金利も上がり、給料は変わらない。もう限界に来ている」
2026年現在、変動金利の上昇が家計に本格的に影響し始めています。これ単体でも苦しいのに、収入の減少が重なると、「リスケで粘るべきか、思い切って売却すべきか」という判断が必要になります。しかしこの判断を誤ると、リスケで時間を稼いでいる間に残債が膨らみ、最終的に選択肢が競売しか残らないという結果につながることがあります。
この記事では、任意売却専門22年のエイミックスが、二重苦が起きる典型パターン・リスケと任意売却それぞれが向いているケース・判断の分岐点を、実務の観点から整理します。
📋 この記事でわかること
1. 変動金利上昇×収入減の二重苦が起きる典型パターン
2026年現在、変動金利上昇による影響と、収入減少が重なるケースが増えています。実務上よく見られる組み合わせを整理します。
二重苦の典型パターン
| 組み合わせ | 起きやすい状況 |
|---|---|
| 変動金利上昇 × 転職・収入ダウン | より働きやすい環境への転職で収入が一時的に下がっている間に、金利上昇の影響が返済額に反映される |
| 変動金利上昇 × 育休・産休 | 育休中の収入減(給付金は給与の約67%)と、2026年に入っての変動金利上昇が同時に家計を圧迫 |
| 変動金利上昇 × 自営業の売上減 | 物価上昇で経費が増える一方、売上が伸びない。金利上昇でローン返済も増加する三重苦に近い状態 |
| 変動金利上昇 × インフレによる実質収入減 | 名目賃金は変わっていないが、食費・光熱費・教育費などの上昇で可処分所得が実質的に減少。返済に回せる余力が消える |
| 変動金利上昇 × 親の介護・医療費 | 金利上昇で返済が増えるタイミングで、予期せぬ介護費用・医療費の支出が重なる |
2. なぜ二重苦は単独の問題より深刻になるのか
「金利が上がった」だけ、または「収入が減った」だけなら、どちらか一方の対処で済みます。しかし両方が同時に起きると、問題の構造が変わります。
収入が減ると「借り換え」の選択肢が消える
変動金利上昇への対策として「固定金利に借り換える」という方法がありますが、借り換えには金融機関の審査があります。収入が減少している状態では、審査基準を満たせずに借り換えができないケースがあります。「金利を固定に変えたいが、審査に通らない」という状況は、金利上昇と収入減が重なったときに特有の詰まり方です。
リスケでしのいでいる間にも残債は増え続ける
収入減を理由にリスケ(返済条件の変更)をしながら、金利上昇分が未払利息として積み重なっていく場合、毎月の返済額は据え置かれていても、残債の総額は増えていく可能性があります。「今月をしのぐ」ための判断が、数年後の選択肢をさらに狭めるリスクを理解した上で検討することが重要です。
⚠️ 二重苦で最も危険なパターン
「収入が回復するまでリスケで粘り、回復したら借り換えか繰り上げ返済で対応しよう」という計画が崩れるケースです。収入回復の見通しが不確かなまま時間が経つと、その間に変動金利のさらなる上昇・遅延損害金の積み重なり・信用情報の悪化が重なり、売却しようとした時点で「競売しか残っていない」という状況になりかねません。「まだ大丈夫」という判断を続けることのリスクを、早い段階で専門家と整理することが重要です。
「リスケと任意売却、どちらが自分に向いているか」一緒に整理します
二重苦の状況での判断は、一人で抱えるより専門家に現状を整理してもらう方が早く出口が見えます。
3. リスケジュール(返済条件の変更)とは何か
リスケジュール(リスケ)とは、金融機関に申し出て住宅ローンの返済条件を一時的に変更する方法です。主な内容は以下の通りです。
- 返済期間の延長——残りの期間を延ばすことで月々の返済額を減らす
- 元金据置期間の設定——一定期間、利息分だけを返済して元金の返済を猶予する
- 返済額の一時減額——収入回復の見込みがある場合に、一定期間返済額を減らす
リスケは「滞納前」に相談できるのが最大のメリットです。滞納が始まってからでも相談できますが、滞納前の方がより柔軟な条件を引き出せる可能性が高くなります。ただし、リスケはあくまで「返済を先送りする」手段であり、総返済額は増えます。金利上昇の影響が続く局面では、リスケ中にも利息負担が積み重なる点を理解した上で選択する必要があります。
4. リスケが向いているケース・向いていないケース
リスケが向いているケース vs 向いていないケース
| ✅ リスケが向いているケース | ⚠️ リスケが向いていないケース |
|---|---|
| 収入減少が一時的で、回復の見通しが具体的にある(育休明け・転職先での昇給見込みなど) | 収入回復の見通しが立っておらず、いつ改善するか不明な状態 |
| 物件の市場価格がローン残債を上回っているか、ほぼ同水準(アンダーローンに近い) | すでに大幅なオーバーローン状態で、リスケ中にさらに残債が増えていく |
| 金利上昇分の影響が限定的で、リスケ後の収入回復で十分カバーできる見込み | 金利上昇+収入減の両方が長期化する見通しで、返済能力の回復が見込めない |
| 住み続けることに強い理由がある(子どもの学区・介護との近居など) | 住み続ける必要性が相対的に低く、生活再建を優先した方が合理的なケース |
5. 任意売却が現実的な出口になるケース
リスケで時間を稼ぐのではなく、任意売却で住宅ローン問題を根本的に整理することが現実的な出口になるケースがあります。
- 収入回復の見通しが立たず、リスケを繰り返すだけになる可能性がある
- 変動金利がさらに上昇した場合、返済額が生活費を超えることが明確
- リスケで元金据置にしている間に、残債が逆に増えている状態
- 物件の市場価格と残債の差が開いており、早く売るほど残債が少なくて済む
- 滞納がすでに始まっており、信用情報への影響を最小化したい
任意売却後の残債は生活実態に応じた分割返済に
任意売却で自宅を売却しても、売却代金でローンを完済できない場合(オーバーローン)は残債が残ります。ただしこの残債は、債権者との協議で生活実態に応じた分割返済額に設定されることが多く、月々1万円程度のケースも実務上あります。「売却=残債がゼロになる」ではありませんが、毎月の住宅ローン返済という重荷がなくなることで、生活の立て直しに集中できます。
6. 判断の分岐点:どちらを先に検討すべきか
リスケか任意売却かの判断は、以下の2つの問いに答えることで方向性が見えてきます。
💡 判断の2つの問い
- 問い① 収入は、いつ・どのくらい回復しますか?
- 「育休明けの〇年〇月から戻る」「転職先で半年後に昇給がある」など具体的な見通しがあれば、リスケで粘る意味があります。「いつ回復するかわからない」「回復の見通しがない」場合、リスケで時間を稼いでいる間に状況が悪化するリスクが高くなります。
- 問い② 今の物件は、売ればいくらになりますか?
- 物件の現在の市場価格とローン残債の差(オーバーローンの規模)を把握することが、任意売却を検討するかどうかの基礎情報です。市場価格が残債に近いか上回っている(アンダーローン)なら、早めに通常売却する選択肢も生まれます。オーバーローンの状態でも、残債が少ないうちに売却した方が後の負担が軽くなります。エイミックスのAI査定(ハウマッチ)でまず現在の市場価格を確認してみてください。
「どちらか一方」ではなく「順序」が重要
リスケと任意売却は排他的な選択肢ではありません。まずリスケで数か月しのぎながら、売却の準備を同時に進めるという順序も現実的です。重要なのは、「リスケだけで解決しようとして時間を費やし、選択肢が競売しか残らなくなる」という事態を避けることです。どちらの方向に進むにしても、現状の数字(残債・市場価格・収入の見通し)を早めに整理することが最初のステップです。
7. よくある質問(FAQ)
- Q. 変動金利が上がって苦しいですが、まだ滞納はしていません。リスケは相談できますか?
- はい、滞納前でも金融機関にリスケの相談は可能です。むしろ滞納が始まる前の方が、より柔軟な条件で応じてもらえる可能性があります。「苦しくなってきた」と感じた段階で早めに相談することをお勧めします。
- Q. リスケをすると信用情報(ブラックリスト)に影響しますか?
- リスケ自体は信用情報への登録(いわゆるブラックリスト入り)の原因にはなりません。ただし、リスケに至るまでの滞納が信用情報に影響します。滞納前にリスケを相談できれば、信用情報への影響を回避できる可能性があります。
- Q. 収入が回復する見込みはありますが、金利がさらに上がるかもしれません。どうすればいいですか?
- 収入回復の見通しが具体的にある場合、まずリスケで月々の負担を軽減しながら、収入回復後に繰り上げ返済や借り換えを検討するという順序が現実的です。ただし金利がさらに上昇するリスクに備え、現在の物件の市場価格と残債の差(オーバーローンの規模)も合わせて把握しておくことをお勧めします。
- Q. リスケと任意売却の準備を同時に進めることはできますか?
- はい、可能です。リスケで月々の返済を一時的に軽減しながら、並行して物件の市場価格の把握・任意売却の相談を進めることができます。どちらか一方に絞らずに、まず現状の数字を整理することが先決です。エイミックスでは、住宅ローンの状況を整理した上で、リスケと任意売却のどちらが現実的かを一緒に検討することが可能です。
8. まとめ
✅ この記事のポイント
- ● 変動金利上昇×収入減の二重苦は、借り換えという選択肢が消えるのが最大の特徴。
- ● リスケは「返済の先送り」であり、その間も金利上昇分が積み重なるリスクを理解した上で選択する。
- ● リスケが向いているのは「収入回復の見通しが具体的にあるケース」。見通しが不明確なら任意売却の検討を並行させる。
- ● 判断の基礎情報は「収入回復の見通し」と「物件の現在の市場価格」の2つ。まずこの数字を把握する。
- ● リスケと任意売却は排他的ではない。両方の準備を並行して進めることも現実的。
- ● 「まだ大丈夫」という判断を繰り返すことが、最終的に競売しか残らない状況につながる最大のリスク。
変動金利上昇と収入減が重なっている。まず現状の数字を整理しましょう
「リスケか任意売却か」の判断は、残債・市場価格・収入見通しの3つが揃ってから。22年の専門実績で一緒に整理します。

この記事の監修・相談回答
細貝 和弘(ほそがい かずひろ)
宅地建物取引士 / 公認不動産コンサルティングマスター / 2級FP技能士
「変動金利が上がって収入も減って、どうすればいいか」というご相談は2026年に入って明らかに増えています。リスケを選ぶか、任意売却で整理するかの判断は、現在の物件価格と収入見通しという2つの数字で大きく変わります。まずその数字を一緒に確認するところからお手伝いします。




























