任意売却したら引越代はどうなる?費用の出どころと注意点を解説
任意売却 / 競売
「任意売却は決まったけど、引っ越し代が出ない」
「手元にお金がない状態で、どうやって新居に移ればいい?」
住宅ローンの返済に行き詰まった方が任意売却を決断したとき、次に直面するのが引っ越し費用の問題です。
実は、任意売却では交渉次第で引っ越し費用を売却代金から確保できる場合があります。また、生活保護の活用や引っ越し費用を抑える方法など、選択肢は複数あります。
この記事では、任意売却後の引っ越し費用について、任意売却専門22年のエイミックスが実務の観点から詳しく解説します。
📋 この記事でわかること
1. 任意売却後の引っ越し費用は「誰が」払うのか
まず大前提として確認しておくべきことがあります。任意売却において、引っ越し費用は「自己負担」が原則です。売却代金は基本的に住宅ローンの残債返済に充てられるため、手元に現金が残らないケースがほとんどです。
しかし、「原則自己負担」と「費用の確保が不可能」はイコールではありません。任意売却は交渉の余地がある売却方法だからこそ、適切な対応で費用を捻出できる可能性があります。
⚠️ 引っ越し費用の確保:3つのアプローチ
- ① 売却代金からの配分(交渉)
- 金融機関との交渉の中で、売却代金の一部を「引っ越し費用・立退き協力金」として配分してもらうよう依頼する方法です。すべての金融機関が認めるわけではありませんが、実績のある専門業者が交渉することで認められるケースがあります。
- ② 生活保護の「住宅扶助」「一時扶助」
- 任意売却後に生活保護を申請する場合、引っ越し費用(敷金・礼金・運搬費など)が「一時扶助」として支給されることがあります。条件がありますが、生活に困窮している場合は有力な選択肢です。
- ③ 費用を抑えた自力調達
- 引っ越し業者の比較・不用品の処分・時期の調整などで、費用を大幅に抑えることができます。3〜5万円程度に収めることも不可能ではありません。
2. 売却代金から引っ越し費用を確保できるケースとは
任意売却では、売却代金の配分方法を債権者(金融機関・保証会社)との交渉で決めます。この「配分交渉」の中で、引っ越し費用・立退き協力金として一定の金額を認めてもらえることがあります。
認められやすい条件と認められにくいケース
| 条件・状況 | ポイント | |
|---|---|---|
| 認められやすい | ・売却価格が十分に高く、残債への配分が確保できる ・実際に居住中で、引っ越しが必要な状況 ・金融機関との交渉経験が豊富な専門業者が依頼している ・保証会社ではなく金融機関本体が債権者 | 目安として10〜30万円程度が認められる事例が多いですが、金額は債権者の判断に委ねられます。 近年、大手銀行や住宅金融支援機構などは引越費用の配分を厳しく制限する傾向にあるため、早期の相談と戦略的な配分案の作成が不可欠です。 |
| 認められにくい | ・空き家で実際には誰も住んでいない ・売却価格が低く、残債への配分で精一杯 ・保証会社(サービサー)への債権移転後で融通が利きにくい ・競売の入札期間直前で交渉時間が極端に少ない | 認められない場合も想定し、②③のアプローチと併用を検討する |
引越費用の確保には「専門的な配分調整」が不可欠です
引っ越し費用の配分は、相談者様が直接金融機関に申し出ても、認めてもらえるケースはほとんどありません。なぜなら、これは単なるお願いではなく、「売却代金をどのように各債権者へ分配するか」という緻密な計画(配分案)に基づいた調整だからです。
この配分案の作成と、債権者への実務的な説明は、任意売却に精通した不動産業者が媒介業務の一環として行います。ただし、借金そのものの減額交渉や、今後の弁済条件の変更(分割払いの合意など)といった法律事務については、弁護士法に基づき、弊社と連携する弁護士が厳格に対応いたします。一般の不動産業者では、こうした債権者ごとの配分ルールの把握や弁護士連携が不十分なケースが多いため、実績のある専門業者への依頼を強くお勧めします。
3. 生活保護と組み合わせて費用を確保する方法
任意売却後に住む場所がなく、収入や資産が乏しい場合、生活保護制度を活用することで引っ越しに必要な費用の支援を受けられる可能性があります。
活用できる可能性がある扶助の種類
| 扶助の種類 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 住宅扶助 | 毎月の家賃を上限額の範囲内で支給。任意売却後の賃貸住宅への転居後から対象となります | 地域によって上限額が異なります(東京都1級地は単身5.3万円など) |
| 一時扶助(引越し費用) | 転居に必要な敷金・礼金・引越し運搬費などを一時金として支給。ただし「保護の開始に伴う転居」や「より適切な住居への転居」など条件があります | 事前に福祉事務所へ相談・承認を得ることが必要。後から申請すると認められないケースがあります |
| 生活扶助 | 日常生活費(食費・光熱費等)の支給。任意売却後の生活立て直しの基盤となります | 世帯人数・年齢・居住地域によって支給額が異なります |
💡 生活保護申請のタイミングが重要
- 任意売却前・交渉中から福祉事務所に相談を
- 生活保護の一時扶助(引っ越し費用)は、転居前に福祉事務所への相談・承認が必要なケースがほとんどです。任意売却の手続きが進んでいる段階から、並行して福祉事務所に相談を始めることを強くお勧めします。エイミックスでは、こうした手続きの連携についても一緒に考えます。
- 任意売却と生活保護は「矛盾しない」
- 「不動産を売ったのに生活保護を申請できるのか」と疑問を持つ方もいますが、売却代金が残債の返済に充てられて手元に残らない場合、生活保護の申請要件を満たすことがあります。まずは福祉事務所へご相談ください。
4. 競売になると引っ越し代はどうなるのか
任意売却と比較するため、競売になった場合の引っ越し費用はどうなるかを確認しておきましょう。
競売では「引っ越し代は出ない」が原則
競売では、落札者(新しい所有者)が決まると、元の所有者・居住者は引渡し期限までに自費で退去しなければなりません。落札者から退去費用が出ることは稀で、出たとしても「交渉力」や「善意」に依存するため、まったく保証がありません。
| 任意売却 | 競売 | |
|---|---|---|
| 引っ越し費用の確保 | 交渉次第で可能 (10〜30万円程度) | 原則ゼロ (落札者の善意に依存) |
| 退去のタイミング | 買主・専門業者と相談して決定 | 落札後は早期の退去が求められ、任意退去に応じない場合は強制執行に至ることも。引渡しまでの期間は状況によって異なりますが、任意売却と比べて準備時間が大幅に短くなります。 |
| 次の住まいの準備 | 売却活動中に時間的余裕を持って準備できる | 突然の退去通知で準備が間に合わないことも |
| 売却額(残債への影響) | 市場価格に近い金額 | 市場価格の60〜70%程度(残債が多く残る) |
競売は「最後に待っている状態」ではなく、任意売却の選択肢がまだある段階で、積極的に回避すべきものです。引っ越し費用を含めた「その後の生活」を守るためにも、早期の相談が重要です。
5. 引っ越し費用を抑える5つの実践的なコツ
売却代金からの配分が難しい場合や、生活保護の対象外となる場合でも、費用を抑えることで自己調達のハードルを下げることができます。
繁忙期を避けて引っ越し日を設定する
3〜4月は引っ越し需要が集中し、業者の料金が最大2〜3倍に跳ね上がります。任意売却の売却活動と並行して、可能であれば5〜2月の閑散期に移動日を設定するだけで数万円の節約になります。
複数の引っ越し業者から見積もりを取る
同じ条件でも業者によって料金は大きく異なります。一括見積もりサービスを使えば手間なく比較でき、最安値の業者を選べます。相見積もりで3〜5万円安くなるケースは珍しくありません。
不用品を事前に売却・処分する
引っ越しの荷物が少ないほど運搬費は下がります。フリマアプリ・リサイクルショップ・粗大ゴミの活用で荷物を減らすと同時に、売却収入を引っ越し費用の一部に充てることもできます。
実家・親族宅への一時退去を検討する
すぐに新しい賃貸物件を探さず、一時的に実家や親族宅に身を置くことで、初期費用(敷金・礼金・引っ越し代)の支払いを先送りできます。仕事や子供の学校の関係でむずかしい場合もありますが、選択肢のひとつです。
「フリーレント」「敷礼ゼロ」物件を探す
賃貸物件の初期費用を大幅に抑えられる条件の物件が増えています。仲介手数料ゼロ・敷礼ゼロ・フリーレント(数ヶ月家賃無料)などを組み合わせることで、入居時の一時負担を数十万円単位で削減できます。
6. よくある質問と、エイミックスの相談事例
「手元に一円もない状態で任意売却。引っ越し費用をどうするか、エイミックスが一緒に考えてくれた」
【相談時の状況】T様(50代・男性・大阪府)

※画像はイメージです
勤めていた会社が倒産し、無職になって半年。住宅ローンを5ヶ月滞納し、期限の利益喪失通知が届いていました。貯蓄は底をつき、「任意売却はしたいが、引っ越し代すらない」という状況でエイミックスにご連絡いただきました。子供2人を抱えており、新居への引っ越し費用と敷金・礼金の捻出がどうしても必要でした。
【エイミックスの対応】
相談当日に状況を詳しくヒアリングし、任意売却の手続きと並行して福祉事務所への相談同行を提案。生活保護の申請タイミングと一時扶助(引っ越し費用)の手続きについてご説明しました。また、売却交渉においても金融機関に対して「立退き協力金」として15万円の配分を申請。金融機関からの承認を得ることができました。
【結果】引っ越し費用15万円を確保。生活保護も申請し新生活をスタート
任意売却の売却代金から立退き協力金として15万円を確保。加えて生活保護の一時扶助で敷金・礼金も支給が認められ、T様ご家族は引っ越し費用の心配なく新居への転居が実現しました。現在は求職活動を続けながら、生活を立て直されています。
よくある質問
- Q. 任意売却では、引っ越し費用は必ず出してもらえますか?
- 必ずではありません。売却価格・金融機関の方針・実際に居住しているかどうかなどの条件によって異なります。ただし、任意売却専門業者が交渉することで認められるケースは多く、「お願いしなければゼロ」です。まずは専門業者に相談し、交渉を試みることをお勧めします。
- Q. 引っ越し費用の「立退き協力金」はいくらくらい出るのですか?
- 金融機関・売却価格・状況によって異なりますが、一般的には10〜30万円程度が相場です。場合によってはそれ以上になることもありますが、金融機関が応じない場合はゼロになります。具体的な金額は交渉の結果次第であるため、実績のある専門業者に依頼することが重要です。
- Q. 引っ越し先が見つかっていない状態で、任意売却の手続きを進めてもいいですか?
- はい、問題ありません。引っ越し先が決まっていなくても、まず任意売却の相談・査定を始めることをお勧めします。売却活動中(通常3〜6ヶ月)に並行して次の住まいを探す時間があります。逆に、引っ越し先が決まってから動き始めると、競売の期限に間に合わなくなるリスクがあります。
- Q. 任意売却後、賃貸物件を借りられますか?信用情報は大丈夫ですか?
- 任意売却後は、信用情報機関に「延滞」や「代位弁済」などの記録が登録されます。これらの記録が消えるまでの期間は、CICやJICCでは一般的に解消後5年程度とされていますが、自己破産などの官報情報については、全国銀行個人信用情報センター(KSC)で最長7〜10年保持される場合があります。
その間は住宅ローンやクレジットカードの新規契約が難しくなりますが、賃貸物件の審査基準は金融機関とは異なります。信販系以外の保証会社を利用する物件であれば、入居できるケースがほとんどです。また、UR賃貸住宅や公営住宅(市営・県営など)は原則として信用情報の審査がないため、有力な選択肢となります。まずはご自身の正確な状況を把握するため、各信用情報機関への「開示請求」を行うことをお勧めします。
7. まとめ:引っ越し費用の不安を解消するチェックリスト
任意売却後の引っ越し費用について、取るべきアクションをチェックリストで確認してください。
- ☑ 任意売却専門業者に相談し、立退き協力金の交渉が可能かを確認する
- ☑ 収入・資産の状況から生活保護の申請要件を満たすかを確認する
- ☑ 生活保護を申請する場合、転居前に福祉事務所へ相談・承認を得る
- ☑ 引っ越し時期を閑散期(5〜2月)に設定できるか検討する
- ☑ 複数の引っ越し業者から見積もりを取り、最安値を選ぶ
- ⚠ 競売の申立てが入っている場合は、任意売却の期限を確認し今すぐ相談する
- 🚨 「手元に一円もない」状態でも、諦めずにまずエイミックスへ相談を
引っ越し費用の不安から「任意売却もできない」と諦めてしまう方が、残念ながら一定数いらっしゃいます。しかし実際には、専門業者への相談・生活保護の活用・費用を抑える工夫など、複数のアプローチを組み合わせることで、多くの場合は解決策を見つけることができます。
エイミックスでは、引っ越し費用の問題を含めた「任意売却後の生活」まで一緒に考えます。まずは無料相談でご状況をお聞かせください。

この記事の監修・相談回答
細貝 和弘(ほそがい かずひろ)
「引っ越し代がない」という理由で相談を躊躇される方は、実は少なくありません。でも、その一歩を踏み出せないことで、任意売却の機会を失ってしまうことの方がずっと大きな損失です。引っ越し費用の問題は、任意売却の手続きと並行して解決策を探せます。まず相談してください。できることを一緒に考えます。




























