相続した空き家にローンや差し押さえが!「負の遺産」を清算する出口戦略
任意売却 / 空き家問題
2024年4月から始まった「相続登記の義務化」により、これまで以上に空き家の所有権が明確化されるようになりました。しかし、相続した実家に住宅ローンの残債があったり、税金滞納による差し押さえが入っていたりする場合、それは単なる「空き家問題」ではなく「負債の相続問題」となります。
「相続放棄しかない」と諦める前に、任意売却という手法を使って家族の負担を最小限に抑える方法をプロが解説します。
1. その空き家は「資産」か「負債」か?現状の把握
まずは、その家がプラスの財産なのか、マイナスの財産なのかを冷静に判断する必要があります。
- 住宅ローンの名義と残高: 親が完済したと思っていたローンが実は残っていた、というケースは少なくありません。
- 税金の滞納状況: 登記簿謄本を確認し、国税や地方自治体による「差押」の記載がないかチェックしてください。
- 連帯保証人の有無: あなた自身がそのローンの連帯保証人になっていた場合、相続放棄をしても返済義務は消えません。
2. 「相続放棄」か「任意売却」か、出口戦略の比較
負債がある場合、主に2つの選択肢がありますが、それぞれに法的な注意点があります。
A. 相続放棄
メリット: すべての負債(借金・未払税金等)を一切引き継がなくて済みます。
リスク: 預貯金や他の遺産もすべて手放すことになります。また、放棄時に物件を現に占有(居住・使用)していた場合、次の相続人等に引き渡すまで、自己の財産と同一の注意をもって「保存する義務(民法940条)」を負う点に注意が必要です。
B. 任意売却
メリット: 売却代金で債務を清算し、所有権を移転することで将来的な管理・賠償責任を解消できます。相続人のリスクを抑えるため「契約不適合責任の免責」を条件に交渉することが一般的です。
リスク: 債権者(銀行・役所)との高度な配分交渉が必要です。
3. なぜ「負の不動産(負動産)」には任意売却が有効なのか
ローンや差し押さえがある空き家は、通常の方法では売却できません。債権者の同意を得て、差し押さえを解除してもらう「任意売却」は、競売を回避し再出発を図るための有力な解決策です。
- オーバーローンでも売却可能: 売却価格が残債を下回っていても、金融機関の承諾を得て抵当権を抹消し、売却が可能です。
- 差し押さえの解除交渉: 滞納している税金がある場合、売却代金からの配分を自治体と交渉し、差し押さえを解除してもらう実務を行います。
- 権利関係の整理: 相続登記が未了の場合や共有名義でも、専門家が間に入ることで円滑に売却スキームを構築できます。
4. 放置が「大きな損失」を招く理由
「どうすればいいか分からない」と放置することだけは避けてください。
時間が経つほど遅延損害金は膨らみ、空き家は劣化して売却価格が下がります。さらに、相続登記の義務化により、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料の対象となります。任意売却を行う際にも、亡くなった方から相続人への名義変更(相続登記)は必須のプロセスとなるため、早めの着手が鍵となります。

監修
細貝 和弘(ほそがい かずひろ)
宅地建物取引士/公認不動産コンサルティングマスター/
2級ファイナンシャルプランニング技能士/相続診断士
相続不動産に負債がある場合、「相続放棄で解決」と考えがちですが、占有状況による保存義務や連帯保証の問題など、慎重な判断が求められます。特に任意売却は「相続登記」との並行作業が不可欠です。私たちは法律・実務の両面から、ご家族にとって最善の出口を診断いたします。
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