親が元気なうちに!認知症リスクに備える任意売却の教科書【子世代の行動リスト】
任意売却 / 定年退職・老後 / 競売
親御さんの自宅の住宅ローンが残っている場合、収入も厳しくなった中、その先の返済はもちろん、将来の老人ホーム入居費用などにも不安を感じていませんか?
多くの方が「まだ大丈夫」と考えがちですが、もし親御さんが認知症を発症し、判断能力を失ってしまった場合、自宅を売却する手続きは極めて困難になり、最悪の場合、時間的な猶予を失い、競売に発展する可能性が高まることがあります。
このテーマは「緊急性の低い予防」ではなく、「回避が難しいリスクへの備え」です。この機会に、親が元気なうちに法律的な準備を整え、安心して老後を迎えるための「予防的任意売却」の重要性を理解し、今すぐ行動を開始しましょう。

監修
細貝 和弘(ほそがい かずひろ)
宅地建物取引士/公認不動産コンサルティングマスター/
2級ファイナンシャルプランニング技能士/賃貸不動産経営管理士/相続診断士
認知症発症後の不動産処分には法律的な知識が不可欠です。私たちは単なる不動産取引業者ではなく、必要に応じて弁護士・司法書士をご紹介し、連携して対応するなど親御さんの財産とご家族の生活を守るためのサポートをワンストップで行います。
任意売却の「切り出し方」と家族会議の進め方
親御さんが元気なうちに任意売却の話を切り出すのは、心理的に大きなハードルがあるものです。しかし、これは「家を奪う話」ではなく、純粋に「親御さんとご家族の安心な未来を守る話」として伝えることが重要です。
1. 「老人ホーム入居」や「介護費用」を切り口にする
「このままでは希望する施設に入れなくなるかもしれない」という具体的な未来の不安を共有することで、家の問題が「自分の老後の問題」として親御さんに受け入れられやすくなります。
「ローンが残っている実家をどうするか?」という悲観的な問題としてではなく、「老後資金と安心した暮らし」をテーマにお話をしていただくのが建設的だと思います。
2. 最初は「匿名での相談」を提案する
すぐに売却の契約を迫るのではなく、まずは「今の家の価値と、ローンの残債が将来どれだけの負担になるか」という客観的な数字を知るために、私たちエイミックスなどの専門家に匿名で相談することから始めることを提案しましょう。法律的な問題も含めて中立的な意見を聞けることをアピールすることで、親御さんの警戒心も和らぐのではないでしょうか。
なぜ手遅れに?親の認知症が招く2つの致命的なリスク
親御さんが認知症を発症し、判断能力を失った後に自宅を売却しようとすると、以下の2つの大きな壁にぶつかります。
1. 任意売却に必要な「売買契約」が無効になるリスク
不動産の売買契約は、売主が契約内容を理解していることが絶対条件です。認知症により判断能力が失われたと見なされると、その契約は法的に無効となる可能性があり、買主を見つけることが困難になるかもしれません。もし、そうなると競売回避のチャンスを失うことになりかねません。
2. 唯一の手段「法定後見制度」が間に合わないリスク
発症後に家を売るには、家庭裁判所に申し立てて選任された「成年後見人(法定後見人)」が代理人となる必要があります。この手続きは複雑で、申し立てから後見人の選任、さらに売却許可まで数ヶ月〜半年以上かかることもあります。
住宅ローン滞納が続く場合、競売手続きは進行します。後見人選任や許可を待っている間に、競売が進行し、回避が困難になるというリスクが現実的に高まることがあります。この時間的な猶予のなさが、大きな問題となります。
親が元気なうちに!子世代が取るべき「予防的任意売却」3つの行動リスト
親御さんの意思能力が十分にある「今」だからこそ、後見制度を回避し、迅速かつ有利に売却するための準備を整えることができます。
- 行動1:任意後見契約の準備と公正証書作成
将来、親御さんの判断能力が低下した場合に、誰が財産管理や売却の代理人になるかを事前に契約します。
この契約は公正証書で作成しますが、任意後見契約に基づく任意後見人の職務が開始する(契約の効力が発生する)のは、親御さんの判断能力が低下した後、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て、これが選任された時点です(任意後見契約に関する法律)。
これにより、定めた代理人(任意後見人)が売却手続きを行えるようになります。
なお、法定後見制度では居住用不動産を売却する際に家庭裁判所の許可(民法第859条の3)が必要ですが、任意後見制度では、あらかじめ契約で代理権を与えておくことで、家庭裁判所の個別の許可を得ることなく、監督人のチェックのもとでスムーズに売却手続きを進めることが可能です。
※これにより、法定後見よりも迅速に売却活動を行える可能性が高まります。 - 行動2:提携専門家(弁護士・司法書士)との面談
単なる不動産価格の査定だけでなく、売却と同時に発生する税金や相続の懸念、法的な手続きについて、連携体制のある専門家からアドバイスを受けることが重要です。 - 行動3:専門会社の無料相談で「売却デッドライン」を把握する
親御さんのローンの残債額、現在の物件価値を把握してもらうことで、「あと何ヶ月で危険水域か」というシミュレーションだけでも行っておきましょう。この情報が、将来の冷静な判断に役立ちます。
丸投げしないサポート体制
私たちは任意売却の専門家として、この「判断能力の問題」が最も深刻なリスクであることを知っています。だからこそ、不動産仲介会社の立場だけではなく、弁護士・司法書士をご紹介し連携する、丸投げしないサポート体制を構築しています。
22年間、この分野で活動してきた実績は、私たちが単に家を売るだけでなく、お客様の法的リスクと生活再建を最後まで見届けるという責任感の表れです。
予防的任意売却と成年後見制度による売却の比較
親が元気なうちに準備を始めることが、どれほどメリットが大きいかを比較します。
| 比較項目 | 発症前の「予防的任意売却」 | 発症後の「法定後見による売却」 |
|---|---|---|
| 手続きの主体 | 親御さん本人の意思が中心 | 家庭裁判所が選任した後見人 |
| 売却までの期間 | 約3ヶ月〜6ヶ月(通常通り) | 数ヶ月〜半年以上かかる可能性が高い |
| 売却の自由度 | 市場価格での自由な売却が可能 | (居住用不動産の場合)裁判所の許可が必須であり(民法第859条の3)、売却価格や売却方法について裁判所への報告と確認が必要となるため、迅速性や手続きの柔軟性が制約されることがあります。 |
| 費用負担 | 任意売却の手数料のみ | 後見人への報酬が毎月発生する |
この記事のまとめ:今すぐ始める「家族会議」と「専門相談」
認知症の進行は止められません。しかし、認知症が原因で自宅と財産を失うリスクは、今、ご家族の行動で回避できます。
22年の実績を持つ私たちは、法律的な問題も含めて、ご家族に最適な解決策を提案します。手遅れになる前に、まずはお電話ください。
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親御さんの将来の不安を、22年の専門実績と弁護士連携のサポート体制を持つ私たちと一緒に解消しましょう。
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